人が誰かの肩に手を置くのはどんな時だろう。G7でグローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国などの招待国も含めた会談が行われたが、その席に首脳たちが着き始めた際、カナダのトルドー首相はゼレンスキー大統領の肩甲骨の辺りに手を置きながら、声をかけるような形で話していた。この仕草を行うのは主に励ましたい時や慰めたい時、自分は味方だというメッセージを伝えたい時などではないだろうか。だが、その手が上に上がるほど、しっかりとつかむ形になればなるほど印象は変わってくる。相手の肩に手をおく、肩をつかむというのは、およそ目上の者や優位にいる者が行いやすい仕草だからだ。
さらにその手が相手の首元をつかんでいたら、人はそこから無意識のうちに親密度より、上下関係や支配関係を感じ取る。バイデン大統領はゼレンスキー大統領に対し、これまでにもこの仕草を見せてきた。ウクライナの最大の支援国は米国だ。今回の会談でも、ウクライナへの軍事支援の強化が話し合われた。米国の強力な軍事支援なしにウクライナが戦い続けることは難しい。ロシアのプーチン大統領に言わせると「今のウクライナ危機はアメリカが招いた」となるようだが、ウクライナの戦況の行方は米国がその首根っこをつかんでいるともいえるだろう。
そのバイデン大統領は、5月18日の日米首脳会談で冒頭、岸田文雄首相が「地元にジョーを迎えられて、大変嬉しい」と感謝の気持ちを述べたのに対し、「フミオ」とは呼ばず「岸田大統領」と呼び間違えた。たしか2021年10月に電話会談で、2人は「ジョー」「フミオ」と呼び合うことにしたはずなのだが、そんなことは覚えていなかったのだろう。サミット中、「大統領」と3度も呼び間違えたと話題になった。
バイデン大統領はこれまでの会談で、岸田首相の首元に手を置きながら話していたことがある。この仕草が何を意味するのか。日本は米国にとって、どんな国なのだろう。