国内

児相と連携する警察OBたち 「てめぇらぶっ殺すぞ!」虐待疑われる若いチンピラ男への対応に戸惑いも

児童虐待について警察と連携する自治体が増えている。2006年開催の警視庁と東京都による「児童虐待緊急連絡会議」(時事通信フォト)

児童虐待について警察と連携する自治体が増えている。2006年開催の警視庁と東京都による「児童虐待緊急連絡会議」(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、児童相談所と連携して虐待などの事案に対処する警察OBたちの姿について。

 * * *
「警察といっても刑事畑しか歩いてこなかったので、この分野はとんと疎くて」と、元刑事が額から流れる汗を拭きながら、苦笑いを見せた。児童相談所(児相)と連携して虐待事案に対応している友人の警察OBに誘われ、見習いのボランティアを始めたという。

「警察OBとして、役に立てることがあると思ったのですが、勝手が違いすぎて、わからないことばかりです」と話す。元刑事は長年、暴力団や暴力団事案を担当する組織犯罪対策4課、略して4課に所属していた。殺人や傷害事件、組同士の対立抗争、暴力団が関与した詐欺事件や恐喝事件など、およそ暴力団が絡むものは何でも捜査してきたという。「”刑事警察”なら、相手が一般人であっても対応や手法はほとんど変わらないが、青少年保護や虐待事案は対応がまるで違う」と話す。

 刑事警察について令和5年度警視庁採用サイトを見ると、最初に「犯罪捜査のプロフェッショナル」とある。「社会の変容に伴い、巧妙化、複雑化の度合いを深める犯罪。その最前線で日夜”悪”と対峙しているのが、『刑事』です」と書かれ、主に強行犯捜査、知能犯捜査、盗犯捜査に鑑識、機動捜査に分かれている。対象となるのはほとんど一般人だ。対して組織犯罪対策の刑事は、外国人や外国人犯罪組織を担当する組織犯罪対策、暴力団を捜査対象にする暴力団対策と薬物銃器対策に分かれる。しかし青少年保護や虐待は刑事とは異なり、生活安全部の仕事になる。ここでは防犯や生活安全相談、保安や少年育成などが中心であり、実況見分や聴取で被疑者を割り出し検挙という刑事ならではの仕事とは内容が異なるのである。

「先日も困りましてね」と元刑事が話し始めたのは、虐待を疑われ通報があった家へ訪問した時のことだ。児相の職員と警察OBに同行し、現場へ向かった。現場の家では、父親が幼い子供を虐待しているという通報が続けて入っていた。子供は保育園などに通っておらず、その状態について調査できなかった。家庭訪問で子供の姿を確認し、親から話を聞くことが必要だったが、児相ではまだ子供に会うことができていなかった。父親が会わせることを拒否していたからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト