最終回に注目が集まる『半沢直樹』

『VIVANT』に主演する堺雅人

「元SMAPを軸にした“未公開×総集編”なら『VIVANT』に対抗できるかもしれない」と考えたフジテレビの『まつもtoなかい』だけでなく、テレビ朝日は『ポツンと一軒家』を「夏の3時間スペシャル」として22時まで放送。また、日本テレビは『行列のできる相談所』で「芸能界キング肉決定戦!」、テレビ東京は『家、ついて行ってイイですか?』で「衝撃の食卓SP」とグルメで勝負して大崩れを避けたいという意図がうかがえます。

 もともとTBS21時台の日曜劇場は、業界最長の約67年もの歴史を持つドラマ枠であり、他局の裏番組にとっては最大のライバル。『まつもtoなかい』にとっても負けられない相手ですが、『VIVANT』の座組みとスケールに戦々恐々であることは想像に難くありません。これらの背景を踏まえると、早期の“未公開×総集編”放送は、ネタ切れやレギュラー化の限界ではなく、『VIVANT』対策の一時退避に見えるのです。

通常放送にこだわり特番化しない

 最後に「ネタ切れやレギュラー化の限界ではなく、『VIVANT』対策の一時退避ではないか」と感じた理由をもう1つ挙げておきましょう。それは『まつもtoなかい』が近年、例がないほど大切に扱われている番組であること。「スタートからの11回すべて日曜21時からの1時間番組として通常放送されている」ことが、その最たるところです。

 業界内では「通常放送より2~3時間特番のほうが目先の視聴率は獲れる」と言われていますが、ここまで『まつもtoなかい』の特番はゼロ。目先の数字を獲ろうとするのではなく1時間の通常放送を重ねることで「日曜21時の定番にしよう」という強い意思を感じさせられます。

 また、通常放送を続けながら、トークゲストを1人にしたり、パフォーマンスコーナーをカットしたり、トークパートを2組放送したりなどの試行錯誤を重ねていることも、番組が大切に扱われているポイントの1つ。大物ダブルMCの番組だけに「トライアンドエラーを重ねながら鉱脈を見つけていく」というわけにはいかないでしょうし、慎重に最適解を探すようなスタッフサイドの動きが見られます。

 だからこそ、「今後も2か月あまりごとに“未公開×総集編”が放送されていくのか」はわかりません。トークの演出面なども含めてまだまだ流動的なところが多く、MC2人と視聴者の反応を見ながら、よりよい形を探っていくのでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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