2006年、中国・北京の路上で偽物の高級腕時計を売る男性。現在は、このような様子はほとんど見られなくなっている(時事通信フォト)

2006年、中国・北京の路上で偽物の高級腕時計を売る男性。現在は、このような様子はほとんど見られなくなっている(時事通信フォト)

SNSで集められた偽物転売の“売り子”たち

 本物と品質が変わらないように見えて、安価ということであれば、購入を希望する人が増えても不思議ではない。その品質のよさを逆手にとって、とても”出来がよい”違法コピー品を「スーパーコピー」などと銘打って販売する業者もいる。とはいえ、他社が時間もお金もかけて開発した技術を、盗むだけでなく商売に利用しているのだから悪質だし、違法であることには変わらない。それにしても、いったんは縮小していたはずの日本における違法コピービジネスが、拡大し続けている理由は製造や流通に携わる一部のプロ、偽物ビジネスを承知して継続している業者の存在だけに原因と言い切れないところがある。

「結局売れるから、というのが一番大きく、さらに販路が拡大しているのも要因の一つ。偽物を買っていくのは、ほとんどが日本人、そして韓国人や中国人ですが、韓国人や中国人が売りさばく相手も日本人。最近では、簡単な金儲けとか闇バイト的に、日本人や外国人を問わず売人を集めて彼らに売らせている。集められた売人は、素人が騙されてなのか、多少感づいているのかは判然としませんが、フリマサイトなどにアカウントを作らされて転売し利益を上げている。物を売ってくれる人がたくさんいるから、偽物を作ったり販売する側もやめようとはしません」(堀田さん)

 フリマサイトをのぞくと、まるで正規品の出品のような体裁をとりつつ「海外並行輸入品」「友人からの頂き物」などと注釈を入れ、違法コピー品の数々を堂々と販売しているアカウントがいくつも見つかる。こうしたアカウント主の多くが、気軽なアルバイト気分で”ビジネス”をしているつもりなのだろう。だが、違法コピー品販売はれっきとした犯罪であることを真面目に受け止めていない。知っている人は誰も逮捕されていないから問題ないと勝手に思い込んだまま、違法な商品の販売という違法な仕事に精を出しているのだ。「私たちからは誰も逮捕されていません」と募集側に言われたからと、根拠がない安心をして逮捕された闇バイト応募者たちのようだ。

「あるアパレル買い取り店に、偽物のダウンジャケットが持ち込まれたという例も聞きました。あらゆる方法で集められた”売り子”が、ネットで知り合った人から偽物を売るようにと指示されたそうです。実は、偽物をショップに売りつけるグループもあって、審査の緩い店の情報などが共有されています。また、SNSに偽物の広告を出して大々的に販売している人もいますが、ほとんど摘発されていない。SNSをすこし見ていたら、似たような偽物の広告はごまんとでてきます」(堀田さん)

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