「2011年に『よつばの会』という患者会を立ち上げました。私が最初に告知されたときと比べて、いまは『がんです』と明かしても驚かれたりぎょっとされたりすることはほとんどなくなったけれど、婦人科系のがんにはまだ偏見がある。例えば子宮頸がんの原因菌であるHPVは性交渉によって感染するため、『性に奔放だったからじゃないか』という大きな誤解を受けることもある。患者同士で寄り添いながら、正しい知識を広めていきたいと思ったんです」
コロナ禍以降は対面での患者会は中止しているものの、電話での相談は随時受け付けている。
「寄せられる悩みの中で特に多いのは、手術で乳房や子宮を失うことによって、体が変化することへの不安です。
自分が受ける衝撃や負担はもちろんのこと、パートナーがいる場合は相手の理解が得られずに悩む人や、治療後、性交渉ができなくなり『私の病気のせいで、相手に負担をかけている』と苦悩を抱える人も少なくなく、その点では私も当事者のひとりです。性交渉は単に欲求を満たすためではなく、相手との愛情を確かめ合うもの。だから、与えたいし与えられたいという気持ちはあるけれど、体がついていかないのはどうしようもない。幸いなことに、夫は理解して寄り添ってくれますが、申し訳ないという気持ちが消えることはありません。
だけどそうした悩みを共有しつつ、自分の経験を発信していくことで救われる人がいたり、早期の治療や予防につながるのではないかと考えています」
【プロフィール】
原千晶(はら・ちあき)/1974年北海道生まれ。1994年に第21代「1995クラリオンガール グランプリ」でデビューし、ドラマや映画、バラエティー番組などで幅広く活躍。2005年に子宮頸がんを、2009年に子宮体がんを経験し、現在は女性特有のがんに罹患した患者会『よつばの会』の運営や講演会などで精力的に活動している。
※女性セブン2023年10月5日号