物議を醸した大谷の発言
復活に際し、大谷が“薄氷を踏むような賭け”に出た最大の理由は「優勝」という夢を叶えるためだ。
「野球人としての大谷選手は、なによりチームの勝利を優先します。疲労を顧みず試合に出場し続けるのは、ひとえに『チームを勝たせたい』という一念から。今春のWBCでも、侍ジャパンの投打の柱として優勝に大きく貢献しました。大谷選手にとってチームが勝つことは至上の喜びなのです。
実際、手術の直前までチームに帯同し、ベンチから味方を鼓舞したり、若手選手には動画で打撃フォームを指導したりするなど、けがの後もチームへの献身は揺るぎません。現在はリハビリプログラムをこなしている最中ですが、チームが遠征から戻れば、本拠地で再びチームに合流するプランもあるそうです」(前出・在米スポーツジャーナリスト)
だが、そんな大谷の思いとは裏腹にエンゼルスは長年低迷が続く。
「MVPを受賞した2021年には『ファンも球団の雰囲気も好きだ。ただそれ以上に勝ちたい気持ちが強い。プレーヤーとしてはそちらの方が正しいと思う』と発言し、物議を醸したこともありました。現在、エンゼルスはメジャーでいちばんプレーオフから遠ざかっている、いわば、“弱小球団”。二刀流で結果を残し、尊敬を集める大谷選手もここ数年チームの栄光とは無縁なのです」(前出・在米スポーツジャーナリスト)
皮肉なことに、今年阪神からメジャーに移籍した同級生の藤浪晋太郎投手(29才)は、メジャー初年度にしてポストシーズン進出を決め、トロント・ブルージェイズに所属する高校の先輩、菊池雄星投手(32才)も、同様に進出の可能性を残す。
「注目を浴びているのは圧倒的に大谷選手ですが、彼自身は身近な日本人選手たちがプレーオフ進出を決め、自分よりも長いシーズンを過ごせることをうらやましく思うと同時に、いつまでも優勝争いを経験できないことに歯がゆさを感じているはずです。今オフの移籍の公算が強いのはそんな事情もあるのです」(前出・在米スポーツジャーナリスト)
では、大谷の勝利への渇望を満たす球団はどこなのか。
「獲得には複数の球団が名乗りを上げるでしょうが、二刀流への理解、リハビリに適した温暖な気候、優勝争いの可能性などを考慮すれば、おのずと候補は絞られる。本命と目されているのは、エンゼルスと同じロサンゼルスに本拠地を置く名門、ロサンゼルス・ドジャースです。
あの野茂茂雄投手が在籍し、さまざまな記録を作っています。チームカラーである紺碧色の“ドジャーブルー”は日本人にも馴染み深い」(前出・在米スポーツジャーナリスト)
すでにドジャースの地元紙は「大谷の手術はドジャースにどんな影響を与えるか」と題した論考まで掲載しているほど。さらに、大谷にとってドジャースは、メジャーでも特別な球団だ。
「ドジャースは大谷選手が高校1年生の春から彼に注目していました。日本担当のスカウトが熱心にグラウンドに足を運び、スカウトの話を聞くうちに大谷選手もメジャーへの夢を膨らませていった」(スポーツ紙記者)
リハビリを進めながらFA市場に参戦する今オフ。全米が注目する大谷の去就はいちばんホットな話題だ。大谷にとっては、ある意味これまでで最も騒がしいオフになるかもしれない。
最新の手術に二刀流継続、そして新チームへの移籍。来年のことを言えば鬼が笑うが、リスクを取って「3つの賭け」に出るだろう大谷は、来シーズン、何色のユニホームを着ることになるのか──。
※女性セブン2023年10月12・19日号