木場健之理事長(時事通信フォト)
どのような事情があれ、いじめ、ハラスメントは絶対に許されない。ただ、疑惑の段階でも“いじめ加害者”として実名で指弾されれば、彼女たちのキャリアは相当に傷つく。そして、それはライバルのタカラジェンヌたちにとって“チャンス”にもなり得る。
「序列が上位のタカラジェンヌばかりがまるでターゲットにされたように告発が相次ぐのは、不健全な競争の結果といえます。在籍時も退団後も、タカラジェンヌとしてのランクが物をいう世界。足の引っ張り合い、蹴落とし合いという醜い争いが生まれる土壌があるんです。有愛さんも天彩さんも、実名を報じられた宙組幹部も、ある意味で“犠牲者”なのかもしれません」(前出・芸能関係者)
10月19日、歌劇団がホームページで、《一部の方のSNS等において、特定の生徒に対する誹謗中傷が行われており、(中略)然るべき法的措置により、毅然とした対応を取ってまいります》と注意喚起をした。誹謗中傷の多くが、芹香をはじめとした“いじめ加害者”として疑惑を持たれた人へと向けられている。
冒頭で、本誌に胸の内を明かしたのは芹香の母親だ。彼女は元タカラジェンヌで、現在は元プロ野球選手の夫とふたり、関西地方で飲食店を切り盛りしている。芹香の母親に話を聞いたが、「もう、本当にすみません。娘からは、“お店は続けてね”とだけ……。見守ることしかできないので」と語るのみだった。
母娘2世代のタカラジェンヌは過去にもいた。だが、2代目がトップの座に就くのは、過去50年で唯一の快挙だった。芹香の知人によると、現在芹香は自宅を離れ、親族の元に身を寄せているという。
「今年6月にトップスターに就任したばかりですが、芹香さんは、次の本公演をもって、トップスターの座から降りるという話も出ているようです。その先には退団という選択肢もあるそうです」(前出・宝塚関係者)
『週刊文春』報道で、“いじめ加害者”とされた天彩は、今年9月、12月25日付での月組への組替えが発表された。
「月組としても、天彩さんの移籍には複雑な思いを持っているそうです。いじめ疑惑報道から約半年での組替えとなれば、どうしても影響があったと思わずにはいられませんからね。また、同様に報道でいじめ疑惑が持ち上がった宙組組長の松風さんは、近いうちでの退団が検討されているといいます。
歌劇団という閉ざされた世界で、実際のところは何があったのかは定かではありません。しかし、“いじめ加害者”と疑惑を持たれたタカラジェンヌが、まるで“粛清”されるように、退団となる道筋が引かれているように思えてなりません」(前出・宝塚関係者)
さながら、大量“粛清”退団の様相。背景には、来年宝塚が110年の節目を迎えることがありそうだ。
「その直前に、歌劇団という『女の園』を激震が襲ったわけです。年内での木場理事長の進退問題も浮上しています。節目の年を、マイナスイメージを残さないまま迎えることに躍起になっているのです」(前出・宝塚関係者)