東京五輪の閉会式でパフォーマンスをするなど、宝塚は世界に誇る日本の文化のはずだった(時事通信フォト)

東京五輪の閉会式でパフォーマンスをするなど、宝塚は世界に誇る日本の文化のはずだった(写真は2021年8月、時事通信フォト)

スパルタが体に染みついている

 透き通るような歌声の娘役として人気を博した有愛さんは、明るくて面倒見がよく、後輩からも慕われる存在だったという。

「責任感が強く真面目で、先輩から言われたことをしっかりとこなすタイプでした」(別の宝塚関係者)

 彼女が25年の短い生涯を閉じることになった背景には、歌劇団内部にはびこる因習があると報じられ、大きな騒動になっている。

 今年2月、『週刊文春』は、宙組所属の娘役・天彩峰里が、ヘアアイロンを押し当てて後輩の額をやけどさせたなどとする「いじめ疑惑」を報じた。被害者の「Aさん」と記されたのが有愛さんだった。

「やけど騒動そのものは、それから1年半以上前のことでした。当初から彼女は、“大ごとにはしたくない”と学校側に被害を訴え出ることさえしていませんでした。ところが記事が出たことで、有愛さんが“週刊誌にリークした犯人”という疑いの目を向けられるようになり、さらに深刻に悩んでしまったようです」(前出・宝塚関係者)

 10月7日、会見を開いた宝塚歌劇団の木場健之理事長は、「上級生から下級生に髪形のアドバイスはよくあることで、(ヘアアイロンが)誤って当たってしまったことはあると両方から聴いている」とし、故意ではなかったとして「いじめ疑惑」を完全に否定した。

 しかし、宝塚内部に脈々と「いじめ体質」が燻っていたことは、小柳ルミ子(71才)や檀れい(52才)ら宝塚OGたちが過去に明かしている。その体質を増長させてきた原因の1つは、かつて存在した「予科事」という暗黙のルールだろう。

 宝塚音楽学校は、2年制の学校だ。上級生を「本科生」、下級生を「予科生」と呼び、本科生が予科生に対して、生活態度などを指導する伝統があった。予科生に課されていたのが「予科事」だ。

「本科生が乗っているかもしれないから、目の前を通過する阪急電車に頭を下げる。本科生への返事は『はい』『いいえ』のみで、本科生の話を聞くときには、眉間にしわを寄せて口角を下げた『予科顔』をしていました。派手な服を身につけることは禁止。音楽学校の寮内では生活音を出すことさえ憚られ、反省ノートの記入のために、睡眠時間を削るのは当たり前でした」(宝塚OG)

 たしかに、クオリティーの高いステージを維持するためには、音楽学校で徹底的に基礎を身につける必要がある。先輩から後輩へ、時に厳しい指導があったのかもしれない。別の宝塚OGが続ける。

「とにかく、いい舞台を作らなければというプレッシャーとの闘いです。厳しい指導なんて、芸事をやっていれば、どこにでもあることです。上級生や先生がたが指導してくださるから、私たちは宝塚でやっていけたのであって、それを厳しいと感じるかどうかは、その人次第でしょう」

 それでも、そのルールが原因で、心身に不調をきたす生徒が出たこともあった。

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