頭にホッチキス30針……。秋田県北秋田市の市街地でクマに襲われたという湊屋さん
シャッターを開けたら目の前にクマ
「10月19日の朝7時頃に、自宅の裏庭の方から唸り声のような凄い声がした。それで、クマが走っていくのが見えたんですよ。その時は起きていることが信じられず見間違いかと思ったのですが、その直後、騒ぎが起きた。
クマはそのまま目の前のバス停にいた女子高生に襲いかかったと聞いたんです。これは大変だと思い表に出たら、近くの交差点でお年寄りの女性が襲われたあとで、駆け付けた警察官が『今救急車が来るからね!』と声をかけていました。私はまだクマが周辺にいるかもしれないと警戒して、裏庭の車庫のシャッターを閉めました」
テレビの取材に応じた湊屋さんは、おばあさんが襲われた様子などを語った。そのときは、まさかその後に自分が襲われるとは思っていなかった。
「騒動の数時間後、もうクマもいなくなっただろうと思い車庫のシャッターを開けたら、目の前にクマがいた。目が合って、その瞬間こっちに向かってきたので、すぐに『これはやられるな』と思いました。専門家の方は『クマに遭遇したら、背中を見せずに後ずさりしろ』と言うんですけどね。そんな気持ちの余裕は持てず、本能的に逃げてしまいました。
走りましたが、すぐに背後から追いつかれて、なぎ倒された。『グワァッ』と、なんとも言えない、唸るような声、息遣いが聞こえました。かじられているのか、引っかかれているのかもわからず、ただただ、されるがまま。このままでは殺されると思いましたが、一瞬、クマの動きが止まったので、全速力で走って逃げて、間一髪、自宅に逃げ込んだのです」
警察に電話しながら、隣の部屋にいた妻に救急車を呼んでもらい、その後、ドクターヘリで秋田市内の病院に搬送された。で、頭皮は10cm四方が剥がれ、医療用ホッチキス30針で傷口をふさいだというが、命に別状がなかったのはせめてもの幸いだ。
「今週中には退院できることになりました。まだ市内にクマが出没しているようですが、これ以上被害が出ないことを願っています」
10月18日には東京都町田市でツキノワグマが目撃されており、今や日本中どこでクマが現れても不思議ではない状況になっている。クマに出会った時には慎重な対処が求められる。