芸能

【いまもっとも忙しい俳優】小日向文世インタビュー「若い人たちに対等に感じてもらえるのはうれしい」

小日向

「いまもっとも忙しい俳優」小日向文世

 善良なおじさんから凶悪な男まで、役柄を自在に行き来し、バラエティーでは“天然”の顔を覗かせる、俳優・小日向文世(69才)。その素顔はいったい……怖いのか、愉快なのか、大胆なのか、繊細なのか。当代一のバイプレーヤーにオファーが途切れない理由、私たち視聴者を引きつける理由はいずこに……。いまもっとも忙しい俳優に、人生と仕事について聞いた。【前後編の前編。後編を読む】

最新作はあまりやったことのない“暴走気味のおじい”

 現在放送中の『下剋上球児』(TBS系)では、孫のために野球のグラウンドまで作ってしまう“孫バカ”の大地主、犬塚樹生役を、小日向はテンション高めに演じている。

「孫の翔くんを溺愛し、まわりの目を気にせず思ったことを全部口にしてしまう、暴走気味の困った“おじい”です(笑い)。これまであまりやったことのない役柄なので、演じるうえでは楽しいですね」と微笑む。

 勝手に試合相手を決めてきたり、すねると制御不能になったり、確かに厄介なおじいだ。だが、回を重ねるごとに「暴れ方がかわいい」「金にものをいわせる系おじさんなのに憎めない」などとネット上で目立つようになり、その“ウザかわ”キャラが視聴者の心を掴み始めている。

「そばにいたら本当に迷惑な人ですよねえ(笑い)。でも、彼も彼なりの寂しさや挫折を抱えている。周囲を振り回しながらも『まったく、しょうがないなあ』と苦笑してもらえるような人物にしたいと思ってやっています」(小日向・以下同)

 話題作にこの人あり、といわれるくらい多くの作品に参加し、かつ「幅広い」という表現では足りないほど多彩なキャラクターを演じているが、役作りのこだわりや、やりづらい役柄はあるのだろうか?

「どの作品も、監督の『こうしてほしい』という要求に応えたいという思いしかないので、やりづらい役柄ってあまりないですね。

 ただ、どんな役でも、人物の心の内を考えながら演じるようにしています。たとえば、3.11の原発事故を扱ったドラマ『THE DAYS』(Netflixシリーズ)で演じた怒りっぽい首相役も、見た人は『本当にムカつく』と感じたでしょう。確かにその通りですが、未曽有の状況下で、あの首相は功名心というより、ただただ必死だったんじゃないかと脚本を読んで感じた。その思いを役に込めました」

 劇団の看板役者として演劇界では知られた存在だったが、1996年に同劇団が解散。このとき小日向は42才、同じ劇団の女優で、1993年に結婚した妻と幼子を抱えた彼は映像に活動の場を広げるが、約5年“食えない”生活が続いた。転機は2001年、47才でメインキャストの1人に起用された『HERO』(フジテレビ系)が大ヒットし、さらに、映画『それでもボクはやってない』(2007年)の冷徹な裁判官を演じて以降、悪役もこなす俳優としてオファーが切れず、現在に至る。

関連記事

トピックス

代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
大臣としての資質が問われる(写真/共同通信社)
三原じゅん子・こども政策担当相が暴力団とゴルフ写真の“反社疑惑”にダンマリの理由「官邸は三原氏のことなど構っていられない」
週刊ポスト
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン