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日曜劇場『下剋上球児』と月9『ONE DAY』、名門ドラマ枠ゆえの苦戦理由と共通するモヤモヤの正体

鈴木亮平

『下剋上球児』に主演する鈴木亮平

「名門ドラマ枠」がなぜこれほど苦戦を強いられているのか――。この秋クールで放送されている日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)と月9『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)。内容やキャスティングなどから放送前から大きな注目を集めていたが、いざ始まってみると評判は決して芳しくない。両ドラマに共通する苦戦の理由とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 かたや放送67年のTBS・日曜劇場、かたや放送36年のフジテレビ・月9。日本を代表する2つの民放ドラマ枠が今秋、想定外の苦戦を強いられています。

 現在放送されているのは、日曜劇場が鈴木亮平さん主演の『下剋上球児』、月9が二宮和也さん、中谷美紀さん、大沢たかおさんがトリプル主演を務める『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』。どちらも視聴率が低迷しているほか、ネット上の声も否定的なものが多数派を占める状況が続いています。

『下剋上球児』は、弱小高校野球部が「日本一の下克上」を果たすまでの道のりと、それを通じて生徒、教師、家族などのさまざまな愛を描く“ドリームヒューマンエンターテインメント”。一方、『ONE DAY』は、別々の人生を歩んできた逃亡犯、報道キャスター、孤高のシェフの物語を同時進行させつつ、クリスマスイブの1日を1クールかけて描く、謎と奇跡と愛の物語。

 両作はまったく異なるコンセプトの作品であるにもかかわらず、共通の懸念があり、それが想定外の苦戦につながっています。さらにその懸念を掘り下げていくと名門枠ならではの難しさが……。

「奇跡待ち」状態が続く物語への不満

 まず『下剋上球児』で目立つのは、「野球の話に振り切ってほしかった」「もっと生徒たちに焦点を当てたストーリーの方を見たい」「なぜこんな設定にしてしまったのか…」などと戸惑う声。弱小高校野球部の選手たちが上達し、絆が芽生えはじめる展開は好評な一方で、第2話の最後に主人公・南雲脩司が無免許で教師をしていたことが発覚し、「みる気が失せた」「ドラマとしてアウト」などと批判の声があふれています。

 これまでネット上には、「実は単位が足りていて卒業していた」「特別免許状が申請されていたかも」「松平健か小泉孝太郎あたりの役が何とかしてくれるはず」などとさまざまな奇跡の案が書き込まれていますが、それらがないまま第4話のラストシーンでは、ついに南雲が警察に出頭。「日本一の下克上まで731日」というテロップが表示されて終了しましたが、けっきょくこの日も奇跡は起きませんでした。

 それどころか第4話では、越山高校野球部が夏の予選大会で1回戦敗退。さらに、部員が1人になったときも練習を続けて野球部を守ってきたキャプテン・日沖誠(菅生新樹)は、トラブルに巻き込まれて試合に出られずに終わるなどの苦しいシーンが続出しました。

 一方、『ONE DAY』で目立つのは、「ホントに話が進まない」「視聴中に席を外して、いくつかのシーンを見逃しても、全く問題ない」「今回こそは面白くなってくると思って5話まできました」「二夜連続ドラマで済ませたほうが良かったんじゃないかな」などと物語の進行に対する不満の声。

「謎と奇跡と愛の物語」「逃亡犯、報道キャスター、孤高のシェフ。聖夜、3人の人生が運命的に交錯する!」と掲げながらも、その兆しは一向に見えないことに不満を募らせているのでしょう。逃亡犯の記憶は戻らず、報道キャスターの報道番組は打ち切られたままで、シェフのクリスマスディナーはミスの連鎖で大ピンチが続行中。こちらも視聴者が待っている奇跡は起きず、モヤモヤとした展開が続いています。

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