ドラマファンには寂しい「背景かぶり」
ここ数年、制作される連続ドラマの本数は着実に増えている。放送後も動画配信できる環境があることから、昨年の秋クールは50本近い連続ドラマが国内で制作されたそうだ。ドラマ百花繚乱となれば、ファンとしては楽しいはずなのに、どうしても心に引っ掛かることがある。それが、ドラマの背景(ロケ地)があからさまにかぶっている問題だ。
特にロケ地としてよく使われるのが、神奈川県横浜市。赤レンガ倉庫、山下公園、横浜みなとみらい21などは、映像だけではなく、写真撮影でも頻繁に使われる。昨年の秋、ロケバスで写真撮影のために移動していたところ、ほんの数十メートルの移動距離にもかかわらず『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』(フジテレビ系)と『コタツがない家』(日本テレビ系)のロケ現場を続けて目撃するという、珍しい現象(?)に遭遇した。
「横浜はピーク時になると、ロケバスで渋滞していることも多いです。なるべく他とかぶらないようなところを考えるんですけど、みなさん、時間がない中で撮影をしているので、あまり遠くにも行けないんですよね」というのは、ロケバスの運転手さん。
そのほかにも、自社スタジオの屋上や玄関、そして食堂がたびたび背景となるのが目に付く。スタジオ内の打ち合わせスペースを、社員食堂に設定して撮影している作品もあった。比較的安価なレンタルスペースが、同じクールの2作品で、ある時はオランダ、またある時はベルギーとして登場したことも……。
毎週楽しみにしているドラマの背景に、常に既視感を覚えるのは、やはり寂しい。