昨年11月、松阪市の「伝えたい! スポーツのチカラプロジェクト」は開始から半年あまりでスポーツ庁の「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰」を受賞した。
「何でも表彰されるのは嬉しいこと。まして、スポーツ庁ですから。引き続きスポーツの魅力を頑張って伝えていきたいなと思いました」
充実した毎日を過ごし、「時間の流れがアスリート時代よりも速く感じられる」と土性さんは言う。
「現役時代は練習がきつくて、曜日感覚がないまま『休日はまだかな』『早く大会が終わらないかな』とずっと考えていた。常に緊張感があって、常にその緊張から解放されたいと思っていたから、時間が経つのが遅かったと思います。公務員となった現在は、4月から働いているのに『もう12月なの!?』って感じです(笑)」
パリ五輪で金メダルを期待する注目選手2名
一方、土性さんのいた女子レスリング界では、今夏のパリ五輪を前に大きな地殻変動が起きている。五輪3連覇の吉田沙保里さんや4連覇の伊調馨さん、そして土性さんなど、数多の金メダリストを輩出し、前回の東京五輪で6階級中4階級を占めていた至学館の選手(OGを含む)がひとりも代表にいないのだ。2004年のアテネ五輪でレスリングが正式種目となって以来、日本のトップ選手の虎の穴というべき至学館大学が落陽を迎えているのは、東京五輪を前に報道されたパワハラ問題と無関係ではないだろう。土性さんが慎重に言葉を選びながら話す。
「OGとしては寂しい気持ちもありますが、選手が全国に分散することは良いことだと思います。(ふたりの代表選手を送り出す群馬の)育英大学も力をつけていますし、日本体育大学では伊調馨さんがコーチをされています」