第2話で「オレは高度成長期の申し子」と熱唱(時事通信フォト)

昭和から来たダメ親父・市郎のセリフが刺さる(時事通信フォト)

「よろしかった? なんで過去形なんだよ」

 令和でスマホを持つ便利さに気づいた市郎は、秋津と携帯ショップを訪れる(第4話)。そこで店員から「料金はスタンダードでよろしかったですか? かけ放題、パケ放題の得々プランがよろしかったでしょうか?」と聞かれるが、ちんぷんかんぷん。さらに「よろしかった? なんで過去形なんだよ。おい、俺が過去から来た人間だからか!」と激怒してしまう。

 市郎のこのセリフには私も深くうなずいた。いつからか、頻繁に使われるようになった「よろしかったでしょうか?」。私自身、飲食店での注文時によく耳にする機会があり、そのたびに違和感を覚えている。ほかにも「お弁当の“ほう”温めますか?」など、店員の(丁寧にしようとしすぎた結果?)気になる敬語が、日常的に使用されている。

 2015年2月4日付の日本経済新聞によると、この妙な敬語のことは1993年前後から新聞の投書欄に登場し、その後“バイト敬語”と呼ばれるようになったらしい。この背景にはコンビニエンストアなどの急速な拡大があり、アルバイトの稼働率が上昇、正しい敬語まで雇用側がフォローできなかったことが発端とされている。一部企業ではこの修正に乗り出しているようだが、テレビ局のアナウンサーでさえも、放送でうっかり二重敬語を使用している有り様だ。解決に至るまでは厳しいが、バイト敬語に打ち解けるのはもっと難しいだろうと感じる。

「『結婚しました、幸せです』って言っちゃいけないってこと?」

「結婚だけが幸せじゃないってあんた言ったけど、じゃあ『結婚しました、幸せです』って言っちゃいけないってこと? 俺は幸せだったよ。カミさんと結婚した時、娘が生まれた時、叫びたいほど幸せだったよ」

 これは『ふてほど』の恒例ミュージカルシーンの一部(第1話)。令和で居酒屋に入った市郎は、多様性問題や社内ハラスメントについて話す、会社員の秋津らと隣席になる。「頑張れ」と励まされて落ち込み、「いいお嫁さんになるね」と言われて傷ついた社員が休職となり、悪気なく話した秋津は処分を受けることになってしまう。この会話の内容に耐えられなくなった、昭和を生きる市郎。さらに女性社員から「結婚だけが幸せの時代じゃないんです」と言われて、返したセリフだ。

 確かに最近は既婚や未婚(かどうか)、年齢、出産にまつわる話題に、過敏になりすぎている傾向がある。実感としても、挨拶がわりに自分の生活環境を話したり、聞いたりすることを控えるようになった。以前、行きつけの居酒屋の店員に「新規のお客さんに『(住まいは)お近くですか?』と尋ねるのも気を遣う」と聞いたことを思い出す。

 未婚の私が言うのもなんだけれど、人によって結婚は超・幸せじゃないか。そして結婚しないで、自分の時間を独占することも同じく幸せでいい。その価値観を表明することに気遣いは必要なかったはずだ。

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