動画配信サービスNetflixの優勝会員数は2023年時点で約2億4720万人(イメージ、dpa/時事通信フォト)
忍者ものというだけあって、アクションは日本の殺陣が基本なのだろう。中国の武術ものとは違うし、ハリウッド映画のアクションシーンでよくある、中途半端な刀のアクションとは違い、刀の描く弧が滑らかで無駄がなく美しい。
外国映画の忍者ものといえば、見ているこちらが首を傾げたくなるようなものがけっこうある。衣装や小道具、立ち居振る舞いなど、どこかしら変なのだが、外国人にはその違いがわからないのだろう。きっと同じことは日本でもあり、日本人の作った外国の歴史物や宮廷ドラマをその国の人達が見たら違和感があるのだと思う。その違和感はさしずめ「人種効果」みたいなものだろうか。
人種効果とは、同じような人種の似たような顔は見分けられるが、あまり見たことがなく、接する機会のない人種の顔は見分けるのが難しいというもの。見慣れるほど目にしなければ見分けるための訓練がされず、判別能力が磨かれていかないらしい。だから顔の細かな違いが区別されにくい。”勘が働く”というものには、経験や知識により識別能力が高まり無意識のうちに判別できるということもある。
だがこのドラマはそんな心配がいらない。最初から最後まで賀来さんが関わり、伝統的な忍者のイメージを残しつつ時代にあった本格的忍者の姿を作りあげている。
新感覚の忍者ものドラマは、世界中の映画人に模倣された黒澤明監督の『七人の侍』の殺陣や、ブルース・リー主演の『燃えよドラゴン』のカンフーのように、この先、沢山の映画やドラマに影響を与えていくような気がする。
