時には迷惑をかけ合い、社会に対して責任を持ち合うのが家族

 少子化が深刻化している今、こんなタイトルの本を刊行するのは勇気がいるけれど、産まないこと及び産めないことに後ろめたさのない世の中になった方が健全だ。出産はあくまでも個人の問題である。本来なら、少子化問題は、社会がより成熟して、産まない人の声が産む人のそれと同じくらいの大きさになった上で考えるべきもののはずだ。
 
 このシリーズを書くことによって、家族の形について考えるようになった。インタビューなどで家族ってなんだと思いますかと聞かれたりもする。やはり生活を共にすることが基本。一時的にでも半永久的にでも家という箱の中に一緒に収まったことがあるのが家族だと思う。ひいては、親とは、血縁より育てだとも考えるようになった。生活の細部を共有し合い、時には迷惑をかけ合い、そして、社会に対して責任を持ち合うのが家族ではないだろうか。

 拡張家族に話を戻そう。たいていの親子は血縁で、夫婦は戸籍でつながっているが、拡張家族は記事によれば「気持ちでつながっている」という。気持ちだけでつながることができるならば、それは人間関係の理想かもしれない。しかし、どちらかに不満や嫉妬が生じた時、どちらかが自分以外を思いやる余裕がなくなった時、金銭面で拗れた時、果たして気持ちでつながっている家族は家族のままでいられるのか。

 次は拡張家族の崩壊と再生の物語を書いてみたい。

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