このように、一定の地域で集中的に地震が発生することを「群発地震」という。千葉県東方沖の群発地震について、東京大学地震研究所教授の小原一成さんが解説する。
「陸側のプレートがゆっくりとずれ動く『スロースリップ』という現象によって、群発地震が起きたと考えられます。この現象は、千葉県東方沖の周辺で5〜6年周期で繰り返し起きています。過去のケースでは最大震度5を観測し、断続的に数か月地震が続いたこともあります」
東海大学と静岡県立大学で客員教授を務め、日本地震予知学会の会長でもある長尾年恭さん(地震予知学が専門)は、「今年はより一層警戒を強める必要がある」と指摘する。
「千葉県の房総半島沖では、1912年、1950年、1987年にM6以上の地震が発生しています。注目すべきは、この3つの地震のインターバルです。いずれも37〜38年の間隔で繰り返しているんです。偶然との見方もありますが、今年は前回の発生からちょうど37年目に当たります」
37年前に起きた「千葉県東方沖地震」はM6.7で、千葉県の広範囲で震度5を記録。2名の死者と144名の負傷者を出した。沿岸地域を中心に道路の陥没や液状化現象も発生し、一部が損壊した建物は6万棟を超えた。さらに、着目しなければならないポイントもある。M6.2→M6.3→M6.7と、地震の規模が大きくなっているため、次の地震はM7クラスになるとの見方もあるのだ。そうなれば関東の広い範囲で被害が発生する。
都心の11区を震度7が襲う
だが、本当の恐怖はその後に訪れる。
「万が一、M7クラスの地震が発生すれば、プレートが刺激されて首都直下地震が誘発されることも考えられます。政府の地震調査委員会は千葉県東方沖で発生している“5〜6年周期のスロースリップ現象”についての見解は発表していますが、この“37〜38年周期”の地震についてはなぜか言及しない。不安を煽り混乱を招きたくないという考えがあるのかもしれませんが、関東在住のかたは頭に入れておいてもいいのではないでしょうか」(長尾さん)