「犠牲になるのは誰か」
オドーア退団で外野のレギュラーを固定できず、ここまでの阿部監督は若手を積極的に起用してきた。ドラ3の佐々木俊輔(24)を1番・センターで開幕スタメンに抜擢。昨年のドラ1・浅野翔吾(19)、同ドラ2・萩尾匡也(23)らにチャンスを与えていた。
「筒香を獲って犠牲になるのは誰か。佐々木や萩尾、浅野ですよ。阿部は彼らを育てようとしたんじゃなかったのか」
そう憤る広岡氏は、「若手をきちんと伸ばそうとするまともな野球をやれば、巨人は優勝が狙える。それなのに野球を知らないから阪神に優勝をさらわれたんです」と続ける。
「浅野にしても、楽な打順で使って素質を伸ばしてやれば、“阿部は一味違う”ということになるのに、(4月2日の中日戦では)3番に置いた。これは阿部の間違いですよ。新人が3番を打つようでは、巨人は優勝できない。クリーンナップとはチームの顔。新人に務まるわけがない。3番を舐めるな、と言いたい。ワンちゃん(王貞治)も、長嶋(茂雄)の前を打つまでに、ものすごく勉強したんだから」(広岡氏)
「前の監督は……」
広岡氏は「阿部采配」を全否定しているわけではない。評価する例として挙げたのが、捕手・大城卓三(31)へのバントのサインだ。4月の2試合で、大城は送りバントを計3度失敗。大城は打撃に定評があるだけに、采配を疑問視する声もあったが、広岡氏はこう言う。
「足や小技を絡めて相手投手にプレッシャーをかけようという姿勢が見えた。一発頼みだった前の監督とは違いますよ。バントができないのは、前の監督がゲームでやらせなかったから。慣れない選手が綺麗なバントをやろうと思っている。阿部が川相(昌弘・内野守備走塁コーチ)に教えさせればいいんですよ。そういうことを阿部ができるかでしょうね」