コーチ陣を活かすことが、低迷から脱却するカギだと続ける。
「前の監督は黙って人を切る悪い癖があったから、側にいるコーチがモノを言わなかった。しかし、本来はそれではいけない。ワンちゃんの時も、川上(哲治)さんが“(王に)何割打たせろ、何本打たせろ”とやかましく言ったら、荒川(博)さんが“バッティングコーチは俺だ”と言って黙らせた。だからワンちゃんは育ったんです。阿部巨人で、コーチ陣にこれができれば、バントもできるよ」
V9前半の巨人投手陣を支えた“エースのジョー”こと城之内邦雄氏(84)は、投手陣の起用法についてこう語る。
「投手陣は悪くないけど、心配なのはキャンプに出遅れた大勢(24)ですね。シーズン中も走り込まないと夏場は厳しいと思うよ。棒球になるから打たれる。一方でドラ1の西舘(勇陽・22)は投げっぷりがよくてボールに力がある。今は西舘がセットアッパーで大勢がストッパーですが、阿部監督は入れ替えることも頭に入れておくことだね」
大勢と西舘は2021年、2023年のドラフト1位で獲得した生え抜き選手だ。盟主復活のカギは、やはり生え抜きの活躍だろう。広岡氏が指摘する。
「巨人の伝統は厳しい競争を勝ち抜いてレギュラーになること。ドラフトで指名した球団が選手を育てないと意味がない」
筒香の去就に注目が集まるなか、重鎮OBの警告は阿部監督に届くか。
※週刊ポスト2024年4月26日号