球団創設90年の節目にV奪還を誓う巨人だが、阿部慎之助・新監督(45)の船出は順調とは言い難い。若手外野手の台頭は明るい話題だが、5年ぶりに日本球界復帰を決めた元DeNA・筒香嘉智(32)の獲得に動く意向が報じられ、重鎮OBは危機感を強めている。
「向こう(メジャー)でダメだった選手を獲る必要があるのか。自分のところで育てるという考えがない証拠ですよ」
そう語るのは、現役時代は巨人の名ショートとして知られ、監督としてはヤクルトと西武を常勝軍団に育てた球界ご意見番・広岡達朗氏(92)だ。もともと広岡氏は、「まだ始まったばかりで、阿部野球を論じるのは早計。これから阿部がどんな考えでやるかが見どころ」と指摘し、「阿部采配」をじっくり見守る意向を示していた。しかし、筒香獲得については手厳しく批判する。
「メジャーでレギュラーになれなかった選手を獲得して勝てるのか。向こうは将来がない選手とは契約しないんです。そこが分かっていない。誰の頃とは言わないが、巨人はいつからかよそで育てた選手を獲るようになった。“阿部よ、お前もか”と残念でならない」
DeNA在籍時には6年連続20本塁打をマークした筒香だが、渡米後の5年ではメジャー3球団、マイナー3球団、米独立リーグを渡り歩き、目立った活躍はなかった。今季の巨人では、メジャー178本塁打の助っ人・オドーア(30)が開幕前に二軍調整を拒否して電撃退団。筒香獲得には、オドーア退団による外野の穴を埋める意味もあるとされるが、広岡氏はこう嘆息する。
「私なんかは、巨人がなぜよそ者を使うのかと思ってしまうよ。選手を補強するにしても、誰でもいいわけではない。外国人選手だって、その選手を獲れば手本、見本となり、チームが変わるような選手を獲らなければいけない。数字ばかり期待して獲ってはダメだ」