『エアウィーヴ』のマットレスに座るパリ五輪柔道代表の阿部一二三選手(左)と妹の詩選手(右)
パリ五輪で導入「洗えるマットレス」
集合住宅であれば、隣家で発生したトコジラミが侵入するリスクもある。できるだけ早く発見し、早期に駆除することが鉄則だ。駆除方法にはいくつか方法がある。まずは新しい殺虫成分・テネベナール(一般名・ブロフラニリド)が入った殺虫剤。効果も安全性も高く、トコジラミ用として市販されている。
「ハエやゴキブリ用のエアゾールはトコジラミに効果がないばかりか、嫌がって分散してしまうので被害が広がります。大量に繁殖している場合は業者に頼ると安心です。悪徳業者もいるので、施工方法などを比べて信頼できる業者を選んでください」(谷川さん)
トコジラミは100℃で数秒、79℃で5分、60℃で10分以上加熱すると死滅するとされる。衣類やシーツ類は、高温の乾燥機を使って駆除することができる。
夜行性で吸血する特性上、トコジラミが最も多く繁殖するのは寝室だ。洋室ではベッドフレームのボトム裏やマットレスの縫い目、折り目などを好み、室内のあらゆる隙間に潜んでいる。
しかし、マットレスなどの大物は乾燥機に入らないなどの難点も。そのためトコジラミを防止するシーツなどのほか、「水洗い」が可能なマットレスに注目が集まっているという。
パリ2024オリンピック・パラリンピックの選手村に提供される寝具は、実は日本の寝具メーカー『エアウィーヴ』製。マットレスは中材が3分割になっていてカスタマイズでき、独自素材のエアファイバーは通気性が高く、水洗いも可能だ。
ダニを例にとると、繁殖培地が散布された寝具5種類を水洗いして比較した結果、エアファイバーは「ダニ」「アレルゲン量の低減率」いずれもトップの除去効果が確認された(日本環境衛生センター調べ)。
「東京五輪に続き、パリ五輪でも同社の寝具が採用されることになりました。万が一トコジラミが入り込んでも、洗い流せるのはほかの寝具との大きな違いです。水洗いできる清潔なマットレスは、選手や五輪関係者にとってもメリットでしょう」(スポーツ紙記者)
トコジラミの成虫は5〜8mmと目視が可能だが、1匹ずつ見つけてつまみ出すのは至難の業。水で一気に洗い流すのは、家庭でも比較的簡単にできる対策といえるだろう。
来年には大阪・関西万博も控え、さらなる人流が予想される日本。トコジラミの存在を知らない世代が増えたことで放置され、被害が広がってしまうケースもある。まずはよく“敵”の生態を知ること。疑わしきムシを自宅で見つけたら適切な対策をして、今年の夏を乗り切りたい。
※女性セブン2024年7月25日号
