芸能

《30年前のブーム再燃なるか》令和の今夏、『南くん』が復活した事情と男女逆転版ドラマとなった背景

7月16日からスタートするドラマ『南くんが恋人!?』(番組公式サイトより)

7月16日からスタートするドラマ『南くんが恋人!?』(番組公式サイトより)

 1987年に刊行された内田春菊さんの漫画で、これまで4回にわたってドラマ化されてきた『南くんの恋人』が復活。男女逆転版としてドラマ『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)が16日、スタートする。なぜ令和の今夏、復活したのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 16日(火)21時から『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)がスタートします。原作は1987年に刊行された内田春菊さんの漫画で、これまで4回にわたってドラマ化されてきました。

 まずTBSが1990年に石田ひかりさんと工藤正貴さんのコンビで2時間の単発ドラマとして放送。続いてテレビ朝日が1994年に高橋由美子さんと武田真治さんのコンビで月曜20時台、2004年に深田恭子さんと二宮和也さんのコンビで木曜21時台の連続ドラマとして放送。さらにフジテレビが2015年に山本舞香さんと中川大志さんのコンビで深夜26時台の連続ドラマとして放送しました。

 5回目のドラマ化となる今作は男女逆転版。これまでの作品は「ヒロインの堀切ちよみが突然、身長15cmの手のひらサイズになってしまう」という物語でしたが、今回は「恋人の南浩之が小さくなる」という大幅な変化が見られます。

 なぜ令和の今夏、『南くん』がひさびさにドラマ化されるのか。また、なぜ男女逆転版が選ばれたのか。その背景や狙いをひも解いていきます。

30年ぶりの岡田惠和脚本に期待

 まず、なぜ令和の今夏、『南くん』がひさびさにドラマ化されるのか。

 今夏は例年通りの夏季イベントや長期休暇に加えて、パリオリンピックが開催されるなど連続ドラマにとっては難しいクール。パリオリンピックの競技中継で見てもらうことが難しい上に、1週休みなどの放送中断もありえるだけに、民放各局のドラマ班は「どんなジャンルのどんな物語にするか」に頭を悩ませた様子がうかがえます。

 その点、『南くん』はアラサー以上の人々にとってはなじみのある作品であり、ブランドとしての知名度と実績は十分。しかも男女逆転版という新鮮さがあり、話題性という点での計算が立ちます。小さくなってしまうのが女子高生から男子高生に変わることでどんな変化や発見があるのか。SNSの動きはもちろんネットニュースの記事なども含めて、今夏の厳しい環境下でも一定の盛り上がりが期待できるでしょう。

 さらに「過去4回の中で最もヒットした」と言われる1994年版を手がけた岡田惠和さんが30年の時を経て再び脚本を担うことも強みの1つ。1994年版がヒットし、名作と言われる最大の理由は、「1巻しかない原作漫画を全10話の連続ドラマに昇華させた岡田さんの脚本」と言われるだけに、制作サイドにとっては何より心強い存在でしょう。

 ただ、原作者の内田春菊さんは2012年から2013年にかけて男女逆転版の漫画『南くんは恋人』を連載し、コミックも刊行されていました。ではなぜそこから10年超が過ぎた今夏、この作品をドラマ化するのか。

 まず夏は昭和時代から「高校生が主役の学園ドラマに最適な季節」とされ、加えて「構えず気楽に見られるファンタジー作との相性がいい」とも言われています。実際、『時をかける少女』(日本テレビ系など)は2016年の夏に放送されましたし、ちなみに当時はリオデジャネイロオリンピックが開催されました。

 また、今年は「1月期からさまざまなコンセプトのファンタジー作が量産されるなど、業界内で同ジャンルが見直されている」という背景もありました。ファンタジー作には重いテーマや設定をやわらげられるというメリットがあり、特に「若年層に見てもらいたい」という民放各局の狙いが一致している様子がうかがえます。

『南くんが恋人!?』が放送されるテレビ朝日の火曜21時台は1月期の『マルス-ゼロの革命-』で21歳の道枝駿佑さんを主演起用するなど、このところ視聴者層の若返りを進めていました。しかし、若手俳優の抜てきだけでは十分な結果を得づらいことから、30代以上の視聴者層も狙える『南くん』が選ばれたのでしょう。

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト