番組の打ち上げでは最後まで壇上に残り出演者を労った
局アナとしての“作法”や”礼儀“も身に付いている。さまざま想い出はあるが、『バイキングMORE』の最終回後、局内で行われた打ち上げの司会をしていた伊藤アナは、小一時間が過ぎ、坂上忍が会場を後にし、エライさんたちが見送りのため会場を出た後も一人、檀上に残り、その日で卒業する曜日ナレーターを労う時間を仕切った。
それぞれのナレーターさんの特徴や曜日スタッフとのとっておきのエピソードを織り交ぜながら、数分間をちゃんとショーアップした伊藤アナ。演者でありながら、局員として、打ち合わせ中から反省会に至るまで、目配りをし、自身の意見や感想はしっかり上に伝える人でもあったからこその見事なひとときだった。その日でバラバラになってしまうレギュラー陣やスタッフも、伊藤アナのお陰で気持ち良く卒業できたのではないだろうか。
そんな伊藤アナが9月30日から『めざましテレビ』のメインキャスターに就任することが発表された。今年4月に30周年を迎えた同番組。2012年までは大塚範一アナがメインを務めていた。
フジテレビはもちろん、系列のネット局でもティーンやF1、F2(20歳~49歳までの女性視聴者)に圧倒的な人気を誇ってきた『めざましテレビ』の魅力の一つは、歴代の女性アナウンサーと大塚さんを中心にした仲の良さだったと思う。数字の上がる番組は演者らが仲良しで風通しが良い…とは放送作家としての筆者の持論でもある。さらに大塚さんはファッションやグルメなどの女性トレンドを女子アナと共に楽しみながら紹介する“かわいさ”もあった。これは、長年エンタメコーナーをずっと楽しそうに担当している軽部真一アナとの共通点でもある。
一方、三宅正治アナは男性的な視点から、重しとして同番組を支えてきたが、これが新人時代から「めざまし調査隊」として関わったり、「アミーゴ伊藤」として楽しい中継をしたりしてきたことを視聴者が憶えている伊藤アナに代わることで、また番組に、いい意味での“かわいさ”が戻ってくるような気がする。
「12年半の番組の進化を担われた三宅さんから仕事を受け継ぐ重責を感じています。私にとっては、はちゃめちゃだった新人時代から育ててもらった番組でもあり、今度はキャリア相応の役割を果たさねばと思います」とは伊藤アナの弁。くしくも『27時間テレビ』の高視聴率と『めざましテレビ』のメインキャスターに就任することが発表された22日は、伊藤アナの52回目の誕生日だった。
視聴者からも愛され、共演したタレントや、共に番組を作ってきたスタッフからの信頼も厚い伊藤アナに番組サイドがオファーしたことに心から納得だ。そして井上清華アナや生田竜聖アナがどのような成長を見せるのか。また軽部アナと伊藤アナの軽快なやりとりにも期待したい。
伊藤利尋アナの『めざましテレビ』。元気なフジテレビが戻ってくる弾みになることも間違いなさそうだ。
【プロフィール】
山田美保子(やまだ・みほこ)/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。