国内

【下剋上の自民党総裁選史】キングメーカーの思惑や派閥の談合が覆された証言録 「田中vs福田」「小泉vs橋本」「安倍vs石破」…まさかの逆転劇の内幕

2001年総裁選では小泉純一郎氏(左)が田中眞紀子氏とのタッグで劇的勝利(写真/AFLO)

2001年総裁選では小泉純一郎氏(左)が田中眞紀子氏とのタッグで劇的勝利(写真/AFLO)

 大混戦の自民党総裁選の裏では、「決選投票」をにらんだキングメーカーたちの暗躍や旧派閥の駆け引きが活発になってきた。過去にはそんなキングメーカーたちの思惑を覆す「下剋上」で総理が誕生したことがあるが、その理由を辿れば、今回もまさかの逆転が起きる可能性が見えてくる。

麻生氏や菅氏が自在に動かせる「駒」

 決選投票に進むことが有力視される小泉進次郎氏のバックには菅義偉・前首相や森喜朗・元首相がつく。それに対し、麻生太郎・元首相は麻生派の河野太郎氏を支援する一方、同派大幹部の甘利明・前幹事長がニューフェースの小林鷹之氏を推すことで進次郎氏に流れそうな若手議員票を取り込み、「河野でも小林でも、決選投票に残ったほうに票を一本化して進次郎に対抗する目算だ」(同派議員)とされる。

 茂木派からは茂木敏充・幹事長と加藤勝信・元官房長官、岸田派では林芳正・官房長官と上川陽子・外相が出馬に動いて票が割れそうだが、ここにも思惑がある。

「岸田政権で3派連合を組んでいた麻生派、茂木派、岸田派は決選投票で手を組む可能性が高い。そこで菅さんは自分に近い加藤と上川の出馬を後押ししている。茂木派と岸田派の票を分裂させ、その一部を決選投票で進次郎に上乗せできると考えている」(閣僚経験者)

 麻生氏や菅氏らから見れば、総裁候補たちはいわば自在に動かせる「駒」にすぎないのだ。

 自民党ではそうして総裁選を派手に演出しながら、最後はキングメーカーたちが自分に都合の良い「次の総理」を決めてきた。では、過去にキングメーカーの思惑や派閥の談合を覆すまさかの下剋上で総理・総裁が誕生した時はどうだったのか。

【田中角栄vs福田赳夫(1972年)】

 8年間の長期政権を誇った佐藤栄作・首相の退陣表明を受けた1972年の総裁選で「本命」と見られていたのはキングメーカーの岸信介・元首相が率いた旧岸派の後継者である福田赳夫氏だった。当時、官邸詰め記者として取材した政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。

「佐藤首相と実兄の岸元首相は、『福田が先』と佐藤派の田中角栄ではなく、自分たちと同じ官僚出身の福田を推した。福田も角栄に負けるとは思っていなかった」

 だが、角栄氏は“親分”の佐藤氏による切り崩しを受けながらも佐藤派内で勢力を伸ばし、1回目の投票で福田氏を抜いて僅差の1位になると、決選投票では出馬していた大平正芳氏、三木武夫氏の票を取り込んで福田氏を破り、総理の座を得た。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン