芸能

【「学園祭の女王」の歴史】先駆けは白井貴子や山下久美子 杉本彩、森高千里、千堂あきほ、中條かな子らが台頭し、ブームが去る1990年代後半までを振り返る

学祭と女王たちの変遷の歴史(左から山下久美子、西田ひかる/ロケットパンチ)

学祭と女王たちの変遷の歴史(左から山下久美子、西田ひかる/ロケットパンチ)

 学園祭のシーズンがやってくる。かつて激しい学園紛争を繰り広げた場は、1970年に政治の季節がひと区切りついたことで一変した。

「政治に向けた情熱が、学園生活を楽しむ方向にシフトしました。象徴的なのは、1974年に東京大学で『山口百恵を守る会』が結成されたことです」(メディア評論家・宝泉薫氏、以下同)

 山口百恵やキャンディーズなどの人気を背景に、学生たちはプロ顔負けのステージを企画し、世間にアピールした。かたや業界側にとっても知名度のある大学との連携は、タレントを売り込む絶好の機会だった。学園祭は両者にとって“ウィン・ウィン”の関係となる場になった。1980年代に入り、白井貴子や山下久美子など女性ロックシンガーが登場したのが「学園祭の女王」の嚆矢だった。

「彼女たちは学園祭でファンを幅広く開拓していく一方、学生は当時高い人気を誇った雑誌『ぴあ』で情報収集し、自分だけの音楽を探し求めていくようになっていきました」

 その結果、若者の趣味嗜好が多様化し、1990年代はブレイク前のタレントやアイドル化する前の声優など、時代を先取りするステージが盛んになった。1990年代も後半に入ると、新人歌手が大物プロデューサーと組んでヒットを狙うなど業界の仕組みが激変し、徐々に学園祭から“女王”が姿を消した。

「その後は男女ともに楽しめるお笑い芸人の起用が急増しました。女性の進学率向上に伴う意識の変化もあって、学園祭の在りようも変わってきたのだといえます」

【主な出来事】
1971年:『水色の恋』で歌手デビューしたばかりの天地真理が早大「早稲田祭」に出演
1976年:太田裕美が東大「駒場祭」出演。学生の人気投票で断トツ1位だった
1979年:シンガーソングライターの尾崎亜美が19校、慶應大生の竹内まりやが18校と大人気
1980年:情報誌『ぴあ』が綴じ込み別冊で「秋の学園祭特集」を開始
1981年:デビュー2年目の山下久美子が19校に登場。学園祭で名を上げ、翌年『赤道小町ドキッ』のヒットに繋げる
1983年:『CAT’S EYE』大ヒット中の杏里が中央大など23校に出演。観客の7割が女子大生だったという
1987年:NHK衛星第1テレビが小比類巻かほるの早稲田祭ライブを約20校の学園祭会場に同時中継。この年、小比類巻には200校を超えるオファーがあった
1988年:「東レキャンペーンガール」出身の杉本彩がSMスタイルなどの過激な衣装で、16校に出演
1989年:美脚で人気の田中美奈子が女子大生の「ミニミニ党」を引き連れ、ミニスカートで学園祭を席巻。文化の日には1日10校をハシゴ
1989年:森高千里が21校でライブ。開催校の1つである足利工業大近くの『渡良瀬橋』に魅了され、4年後に同名の曲を制作。のちに足利市駅の発着メロディーに
1990年:18歳人口が21年ぶりに200万人を突破。大学の数は507校と過去最高に。深夜番組『オールナイトフジ』の司会を務めていた千堂あきほが30校を回る
1991年:千堂と同じ事務所で、「桜っ子クラブ」の中條かな子が27校に出演
1992年:過激な衣装でSHIHOが東大「五月祭」に出演。客席に20枚ものパンティーを投げ込む。翌年も登場
2004年:事務所トラブルで活動停滞中の鈴木亜美が4年半ぶりのライブを日大経済学部など6校で開催。これを足掛かりに、翌年の元日にエイベックスと契約
2010年:人気上昇中のAKB48が慶應大「三田祭」に出演。一部の学生が下ネタの野次を飛ばし、物議を醸す
2023年:コロナ禍が明け、学園祭が本格的に復活。「NHK紅白歌合戦」4度の出場を誇る
Little Glee Monsterが早稲田大など4校に登場

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

関連記事

トピックス

「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)
高市総裁取材前「支持率下げてやる」発言騒動 報道現場からは「背筋がゾッとした」「ネット配信中だと周囲に配慮できなかったのか」日テレ対応への不満も
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
「父と母はとても仲が良かったんです」と話す祐子さん。写真は元気な頃の両親
《母親がマルチ商法に3000万》娘が借金525万円を立て替えても解けなかった“洗脳”の恐ろしさ、母は「アンタはバカだ、早死にするよ」と言い放った
NEWSポストセブン
来日中国人のなかには「違法買春」に興じる動きも(イメージ)
《中国人観光客による“違法買春”の実態》民泊で派遣型サービスを受ける事例多数 中国人専用店在籍女性は「チップの気前が良い。これからも続けたい」
週刊ポスト
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」
米・フロリダ州で元看護師の女による血の繋がっていない息子に対する性的虐待事件が起きた(Facebookより)
「15歳の連れ子」を誘惑して性交した米国の元看護師の女の犯行 「ホラー映画を見ながら大麻成分を吸引して…」夫が帰宅時に見た最悪の光景とは《フルメイク&黒タートルで出廷》
NEWSポストセブン