街中で笑顔で談笑する姿も(2023年)
父・純一郎氏の政策で日本の格差が広がった
そして、もう1人名前が挙がるのが元厚労官僚の山崎史郎氏だ。厚労省社会・援護局長などを経て岸田内閣の内閣官房参与となり、全世代型社会保障構築本部の総括事務局長を務めている。進次郎氏が社会保障改革の一環として提唱する「こども保険」の発案者であり、「進次郎氏が総理になれば、官房参与に留任して社会保障改革を担うのではないか」(官邸官僚)と目されている人物だ。
この山崎氏は厚労官僚として介護保険制度の策定を手がけ、「ミスター介護保険」とも呼ばれた。当時、厚生大臣として介護保険法案を成立させて制度創設に道筋をつけたのが進次郎氏の父・純一郎氏であり、父子2代の“ブレーン的存在”ということになる。
山崎氏が進次郎氏の社会保障改革プランにどう関わり、どう考えているのか尋ねるため、本人を自宅前で直撃した。
「あー、僕はそういうことはね(答えられない)。ごめんなさい」
それだけ言うと黒塗りの送迎車に乗り込んだ。
人生100年型年金とともに進次郎氏の社会保障改革の柱が前述の「こども保険」と「勤労者皆保険」の創設だ。
「こども保険」は、児童手当拡大の財源として新たな社会保険制度を創設し、サラリーマンから年金生活者まで新たに保険料を徴収するものだ。「勤労者皆保険」はパート、アルバイトなどの非正規社員を全員、厚生年金や健康保険に加入させ、保険料を徴収する。
父・純一郎氏の首相時代の“負の遺産”は「100年安心」を謳った年金大改悪だ。保険料の大幅引き上げと年金カットを行ない、さらに健康保険料の値上げなども決めた。それから20年後、息子の進次郎氏が総理になれば「人生100年型年金」を掲げてさらなる改悪を進める構えなのだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が語る。
「父の純一郎氏は首相になると『自分の政権で消費税は上げない』と宣言しながら、年金や健康保険など保険料値上げを次々に決め、負担増で国民生活は苦しくなった。お父さんの政策によって日本で格差が広がったのは紛れもない事実です。進次郎氏も父と同じように年金改革など社会保険料負担を増やす政策を推進しようとしている。2代目小泉政権ができれば、日本社会の格差はさらに広がるのではないか」
国民が「安心できない」父子2代の年金大改悪に騙されてはならない。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年10月4日号