大観衆が酔ったオグリキャップ“伝説のラストラン”(1999年。写真/JRA)
メジャー行きを決めた運命の日
吉井:実は僕が馬券を買うようになったのは翌年の有馬記念からなんです。
本城:ああ、「これはびっくりダイユウサク!」
吉井:大阪球場にあったウインズ難波で。めっちゃ人が多くて、ブロック塀にのぼって馬券を握りながらモニターを見ていました。
本城:それまで競馬は?
吉井:レースは見ていたけど、馬券は買ったことがなかった。この時はメジロマックイーンが1番人気だったので外せんやろと思って人気のない2頭に流したら……当たったんです! ダイユウサクは14番人気でした。
本城:持ってますね。
吉井:その翌年から有馬記念は毎年中山競馬場へ行くようになりました。現地で池山に会ったり、野茂英雄と一緒に行ったりしたこともあります。
本城:体格のいい野球選手が一緒にいると目立ちますよね?
吉井:みんな競馬新聞ばかり見ているから、誰も気づかない(笑)。
本城:吉井さんは1995年にヤクルトに移籍します。僕はその少し前までヤクルト担当。競馬好きの選手が多かったので、その後、僕が競馬の担当に移ってからも交流は続いていました。で、今度移籍してくる吉井という投手は競馬好きらしいと。
吉井:一緒にゴルフに行ったんですよね。
本城:それが初めてお会いした時。ゴルフの間中、選手たちも競馬の話ばかりしていて(笑)。
吉井:競馬のおかげでチームにすんなり溶け込めました。
本城:移籍した年に10勝してヤクルトは日本一。吉井さんはそれから3年連続二桁勝利、1997年にはまた日本一になりました。
吉井:その年のオフにFA宣言をしたら、国内の5球団から、複数年契約で10何億円というようなありがたいお話をたくさんいただいた。
本城:長嶋監督がポケットマネーで1億円出すとか出さないとか報じられて、誰もが巨人に行くものだなと思っていました。
