2021年、「大逆転人生ゲーム」(タカラトミー)に「副業カード」が初登場した(時事通信フォト)

2021年、「大逆転人生ゲーム」(タカラトミー)に「副業カード」が初登場した(時事通信フォト)

 意外と勘違いしている人もいるのだが、日本には季節性のインフルエンザというだけで会社に出勤してはならないという、国としての法的な基準もそれのみによる罰則もない。勘違いしている人はおそらく学校と同じにしているのだろうが、学校保健安全法では明確に登校禁止とその期間が定められている。しかし労働安全衛生法には新型インフルエンザや結核、ノロウイルスなどを除き、季節性インフル出社の可否に国の法的な拘束力はない。

 安全配慮義務の観点から学校保健安全法を参考に独自基準を作る会社がある一方、「インフルでも会社に来るとは気合いが入ってる」という「あたおか」な会社が存在できるのもそうした事情による。あくまで企業も労働者も「個々人の自由意志」が国の建前だ。そもそも新型か、季節性かなんてスキマバイトの1日どころか数時間限りの1回こっきりで判断しようもない。

「インフルでも無理して出る人もいると思いますよ。スキマバイトはあくまで『アプリ』を運営する会社ですし。そういうところの責任とか、ないから儲かるんでしょうけど」

 バイト先の会社や店によっては検温の指定がある。それで熱なら当然キャンセルとなる。しかし、それがない会社や店ならインフルでも頑張って働けてしまう。季節性なら個人の問題で違法ではない。あくまでマッチングサービス、これはフードデリバリーサービスや電動キックボードのシェアリングサービスと同じ理屈でアプリを提供している。

 問題が起きるたびに改正を含めた姿勢はとるが、最終的には「うちはアプリを提供しているだけ」である。

 別のスキマバイト経験者に話を聞いた。中小企業に勤め、会社の許可を得てスキマバイトに登録している男性(50代)の話。

「私の場合は若い社員から『お父さん』呼びがあったね。親しみを込めた『お父さん』じゃなくて、ヤンキーとかそういうのが中高年を小馬鹿にするときの『お父さん』だ。わからないところを聞くと『お父さんさ~』だ。全部じゃないけど、嫌な働き口にあたるのは仕方がないとあきらめてる」

 それでもスキマバイトがあると助かるとも。

「嫌なことなんて仕事でたくさんあったから、そんなの気にしてたら食っていけないよ。物価も税金も上がりっぱなしで使えるお金が減るばかりだ。そもそも会社が『足りなかったら副業してもいいよ』と自分から賃金を上げる気がない」

 経営の苦しい中小企業に限らず、近年では大手でも副業を許可する企業が増えている。三井住友銀行や日産自動車、丸紅などの大企業も副業解禁に踏み切った。事前承認や月20時間以内など条件はあるが、こうした大手はともかく中小企業の場合は彼の言う通り「賃金上げられないから外でも働いてよ」が本音だろう。

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