指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)

指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)

 しかし六代目が自ら言い出すわけにはいかない。「山口組としては一方的に抗争終結宣言を出したいが、それではカッコがつかない」とA氏。ヤクザは見栄を張ってなんぼの商売でもある。また現在のヤクザ業界でトップに立っている六代目山口組の当代司忍と、並ぶことができる他組織の組長は今や数少ない。「そこで内堀会長に打診し、要望書が作られたのではないか、という噂もある」という。六代目山口組の体面を保つためには、全国の任侠団体の要望によりという態にする必要があったのだろう。

 要望書とされる文書には丁寧な言葉が並んでいた。全国斯道界の有志が現在の抗争がもたらす影響を深く憂慮していると告げ、「此れからの斯道界が 発展して行く為にも常々 六代目山口組が唱える 原点回帰の元 任侠道の原点に帰り 抗争の早期終結を決断して頂きたく ここに 強く 要望致します」とし、友好団体一同は中立な立場で仲介に入ることも厭わないとあった。要望書により山口側は動いたようだ。

 7日前日に執行部が兵庫県警に入るらしいという情報とともに、8日、直参らに「体調が悪くても這ってでも来い」と緊急招集がかかったという情報が流れた。抗争終結と代替わりに絡んだ動きがあるとみられたが、この時点では「兵庫県警に行った事も茶番ではないのかという者も多かった」とA氏は語る。

 直参が集まった緊急会合では、高山若頭が「神戸、池田、絆は認めているわけではない。とにかく六代目山口組は前進あるのみ!」と大声を張り上げたというが、代替わりに関する話はなかった。するとSNSには「高山若頭が、司親分に総裁に就任してもらうか、引退されてゆっくりされることを提案した」「高山若頭は弘道会総裁のまま最高顧問に退き、竹内照明若頭補佐を若頭に打診したが、司親分から何代も弘道会出身者が当代に就任したら、それはもはや弘道会山口組であって、分裂の目を生むだけだ」という主旨の怪文書が流れた。

「この話が本当ならもっともだと思う者も多いだろうが」というA氏だが、「名古屋(弘道会)が、誰が流したのか犯人捜しをしている」。怪文書は、弘道会出身者が代替わりすることに危機感を持つ者の仕業とみられている。実際これはガセネタだった。18日、六代目山口組は本部執行部通達として、高山若頭を相談役に、竹内若頭補佐が若頭に就任したことを公表した。

「本部から、井上、池田ともめたら処分の対象とする。頼ってきた場合には接触は構わないが、山建組の処分者は拾わないという通達もきた」というA氏。抗争を終結させ、六代目山口組代替わりに向け動きを加速させている六代目山口組。抗争終結に向けて動いた稲川会では、終結宣言を見届けたかのように総裁だった清田次郎(辛炳圭)が亡くなった。

 一方的に抗争終結宣言を出された神戸山口側では目立った動きはみられない。10年も続いた抗争がこのまま揉め事もなく終結に向かうのか。予断を許さない。

年末恒例行事の餅つきに参加した特定抗争指定暴力団山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(中央)ら。2024年12月28日、愛知県瀬戸市(時事通信フォト)

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1月25日で83歳を迎えた司忍組長

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