1988年12月31日、『第39回NHK紅白歌合戦』に初出場。紅組1番手で『Witches』を歌唱(C)女性セブン
「最高視聴率25%以上、オリコン売上枚数30万枚以上」のハードル
中山美穂は唯一、3度も達成している。「月9」主題歌からは小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』(1991年発売)、CHAGE and ASKAの『SAY YES』(1991年発売)、藤井フミヤの『TRUE LOVE』(1993年発売)などミリオン超えが連発されており、30万枚という基準は一見低いように思えるかもしれない。
だが、昭和後半から平成前半はレコードやカセットテープからCDへの移行期だったため、音楽ソフト市場が停滞していた。ミリオンシングルは1980年代の10年間で12枚。オリコン年鑑チャートを見ると1990年は1枚に留まったが、CDの加速度的普及で1991年は7枚、1992年は11枚と増加していった。つまり、1990年以前の30万枚は価値が高かったのだ。
「月9」主演作の最高視聴率25%以上、主題歌のオリコン売上枚数30万枚以上のハードルは想像以上に高い。惜しい例をいくつか挙げてみよう。
田原俊彦
1988年4月開始 ドラマ『教師びんびん物語』24.9% 主題歌『抱きしめてTONIGHT』27.9万枚
工藤静香
1993年1月開始 ドラマ『あの日に帰りたい』18.6% 主題歌『慟哭』93.9万枚
中山美穂
1995年1月開始 ドラマ『For You』22.7% 主題歌『HERO』47.4万枚
小泉今日子
1995年10月開始 ドラマ『まだ恋は始まらない』20.8% 主題歌『BEAUTIFUL GIRLS』21.3万枚
中居正広
1998年4月開始 ドラマ『ブラザーズ』24.3% 主題歌『たいせつ』(SMAP)41.2万枚
このように、名だたるタレントでも「月9」で「主演25%」「主題歌30万枚」を同時に達成するのは至難の業だった。そのなかで、中山美穂は3度目の偉業を5年のブランクを経て成し遂げている。彼女は80年代から主演ドラマと主題歌を兼ねてヒットさせ、90年代には『世界中の誰よりきっと』『ただ泣きたくなるの』というミリオンセラーも記録。芸能史においても特筆すべき息の長い人気を保っていた。
