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阿部寛、小泉今日子、中井貴一、内野聖陽…今春ドラマで「アラ還の主演俳優がそろい踏み」のなぜ?

日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛

日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛

 今春クールのドラマで1つの顕著な傾向が見られる。それはアラ還俳優がドラマの主演に多く起用されていることだ。阿部寛(60歳)、小泉今日子(59歳)、中井貴一(63歳)、内野聖陽(56歳)…いずれも大物ばかり。その背景にはどんな理由があるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * * 
 現在、地上波のゴールデン・プライム帯では18のドラマ枠があり、今春は「ジャンルも舞台もかぶりなし」と言えるほど多彩な作品がそろいました。 

 なかでも最大の注目は“アラウンド還暦”の主演俳優がそろい踏みしていること。『キャスター』(TBS系)の阿部寛さん(60歳)、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の小泉今日子さん(59歳)と中井貴一さん(63歳)、『PJ ~航空救難団~』(テレビ朝日系)の内野聖陽さん(56歳)と、4人もの“アラ還”主演俳優が生き生きとした姿を見せています。 

 特筆すべきはそれぞれTBS「日曜劇場」、フジテレビ「月9」、テレビ朝日「木曜ドラマ」という各局の看板枠での主演であること。つまり「“春ドラマの顔”を務めていて、視聴率・配信再生数なども好結果を得ている」と言っていいでしょう。 

 視聴率調査がリニューアルした2020年春以降、民放各局はスポンサーの求めるコア層(主に13~49歳)をターゲットに据えてドラマ制作を続けてきました。必然的に主演俳優の若返りが図られてきましたが、なぜ今春は“アラ還”世代が起用されているのでしょうか。 

社会では65歳までの雇用が義務化 

 前提としてあげておかなければいけないのは、前述した4人の“アラ還”主演俳優がバリバリの現役であり、トップ俳優であること。 

 阿部さんは日本最長の歴史を持つ日曜劇場の顔として主演を重ねていますし、小泉さんはドラマ・映画・舞台・音楽活動などマルチに活躍しています。中井さんも『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)シリーズのほか、映画・舞台などに幅広く出演。内野さんも『きのう何食べた?』(テレビ東京系)、『ブラックペアン』(TBS系)シリーズのほか、昨年も映画・舞台で主演を務めました。 

 今春で演じている役柄を見ても、それぞれがエネルギッシュ。阿部さんは報道番組のメインキャスター、小泉さんはドラマ制作部のゼネラルプロデューサー、中井さんは鎌倉市役所の観光推進課指導監、内野さんは災害現場にも出動する航空自衛隊航空救難団の主任教官と、第一線で活躍する主人公を演じています。 

一般社会では今年4月から65歳までの雇用確保が完全義務化されました。この流れもあってドラマの世界でも同世代の社会的な活躍を描きやすくなっているのでしょう。 

 4人が若年層への知名度も高い特別な存在であることは間違いありません。ただそれでも前述したように、民放各局は2020年春以降スポンサー受けのいいコア層(13~49歳)の個人視聴率獲得に向けたドラマ制作を進めてきました。 

 それだけにこれほど“アラ還”主演俳優が集結したことでネット上には「時代に逆行しているのではないか」という声が見られたのも事実。特にフジテレビの月9はかつて「若年層向けのラブストーリーが多いドラマ枠」という印象が濃かっただけに、“アラ還”のダブル主演に驚きをもって報じる記事もありました。 

 しかし、実は昨秋の改編期あたりから民放各局に「コア層だけでなく全体の年齢層に向けた制作を強化していく」「ターゲット層の上限を広げる」という動きが見られました。バラエティでもゴールデン・プライム帯で東野幸治さん(57歳)、ヒロミさん(60歳)、生瀬勝久さん(64歳)ら“アラ還”MCの番組がスタートするなど、明らかにこれまでとは異なるムードが漂いはじめていたのです。 

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