主演を務める阿部寛、永野芽郁、道枝駿佑(公式インスタグラムより)
“アラ還”は配信再生数を取れるか
昨年、最大級の人口ボリューム層である団塊ジュニア(1971年~1974年生まれ)がすべて50代になり、民放各局のメインターゲットであるコア層から外れました。「現在の50代はまだまだ元気で購買意欲のある世代だから」「この年齢層を含めなければ視聴率獲得が難しくなった」などの理由から民放各局がターゲット層の上限を広げたことが“アラ還”主演俳優のそろい踏みにつながったのでしょう。
そんな“アラ還”の主演俳優は下の世代と同等以上の視聴率獲得が期待できるだけに、今春の試金石となりそうなのが「配信再生数をどれだけ稼げるのか」。いまなお収入面では放送が配信を大きく上回っているものの、TVerの浸透やスマートテレビの普及などもあって、これまで以上に配信再生数の獲得が求められるようになりました。
中高年層の俳優は「20代・30代の俳優より配信再生は取れないだろう」などと見られがちでしたが、実際のところどうなのか。
『続・続・最後から二番目の恋』のTVer初回見逃し配信は400万再生を突破し、お気に入り登録数は約118万を記録。また、『キャスター』と『PJ』の初回見逃し配信も早々に100万再生を突破し、今なお数字を伸ばしているようです。もしこのまま「“アラ還”主演も配信再生数を稼げる」という実績を残せたら今後のキャスティングに影響を与えるでしょう。
そもそも“アラ還”の年齢までトップシーンで活躍し続けることは、よほどの技術や華がなければ難しいもの。演技力はもちろん存在感でも圧倒的で、さらに見た目の若さもあるため、若年層にも受け入れられやすいのでしょう。
“アラ還”世代の元気な姿は年齢を問わず視聴者に元気を与えてくれますが、後輩俳優たちにとっても刺激になるのは間違いありません。特に今春で言えば、松本若菜さん(41歳)、北川景子さん(38歳)、桜井ユキさん(38歳)、多部未華子さん(36歳)と“アラフォー”の主演俳優がそろっているだけに、“アラ還”の4人は目指すべき姿に見えるのではないでしょうか。
“アラ還”の主演俳優たちが生き生きとした姿を見せることで、ビジネス、政治、音楽などのさまざまなジャンルでも、「若年層にあっさり道を譲る」のではなく、最前線で活躍し続ける同世代が増えていくのかもしれません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
