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【密着インタビュー】仲代達矢・92歳、異色の反戦劇を再々演「これが引退の芝居だと思ってもいないし、思いたくもないんです」 役者一筋73年の思い

役者一筋73年の名優が語った「演じる力強さ」「衰えない情熱」そして「平和への願い」

役者一筋73年の名優が語った「演じる力強さ」「衰えない情熱」そして「平和への願い」

 役者一筋73年の名優・仲代達矢(92)に密着インタビュー。「演じる力強さ」「衰えない情熱」そして「平和への願い」について、あますところなく語った。

男勝りで磊落だった実母のイメージで演じる

 92歳を迎えた仲代達矢の役者人生は、なおも終わらない。

 1か月以上にわたり打ち込んでいるのは、5月30日から能登演劇堂で始まる『肝っ玉おっ母と子供たち』(ブレヒト作)の舞台稽古。仲代が演じるのは、戦火の中で兵隊相手の行商をしながら、3人の子どもを育てていく主人公肝っ玉おっ母だ。

 婉曲に提示されるのは戦争の愚かさである。1988年、2017年に次ぎ「令和6年能登半島地震復興公演」と銘打っての3度目の公演となる。

「初めての女役で最初は躊躇しましたが、妻の宮崎恭子の『あなたのお母さんの真似をすればいいのよ』の一言で、できるかなと踏み切った。私の母は、思い切りのいい男勝りの磊落な人で、そのイメージでいこうと」

 異色の反戦劇の再々演を決めた背景について仲代はこう語る。

「今年は戦後80年ですが、私は終戦のときに12歳でした。東京大空襲にも遭い、兵隊にこそ行ってないですけれど、戦争体験者です。戦争と平和には子供のときから思いが深い。この芝居では、平和への願いと能登半島復興への思いを込めているつもりです」

 主人公ゆえ台詞量も多く、負担は少なくないはずだが、仲代はこう言う。

「92歳のここまで生き延びてきて、まだ現役の役者をやろうとしているわけで、記憶力は減じています。台詞を覚えるのにも時間がかかる。精神的にも肉体的にもかつての力強さはないし、もうそろそろだなとは思ってますが、まだこれが引退の芝居だと思ってもいないし、思いたくもないんです。これが終わったら、あれも一本やっておきたかったというのがきっと出てくるんですよ」

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