一列目左から永井美奈子、馬場典子、上重聡。 二列目左から安東弘樹、山本里菜、須黒清華(番組公式HPより)
好感度をバラエティにもたらす存在
フジテレビがアナウンサーに関わる件で問題視されたのは、「接待に駆り出される」ことの常態化でした。これによってハラスメントなどの被害が発生したとみられています。
その元凶は前述した「編成・制作がキャスティングをする側、アナウンサーがされる側という従属的な関係性」でしょう。特に「編成・制作サイドの意向で女性アナウンサーをアイドルやモデルのように起用する」という姿勢に厳しい目が向けられています。
では、なぜフジテレビと日本テレビはあえて今、アナウンサー特番を放送するのか。
フジテレビで言えば、キャスターをほぼ自局アナウンサーで固めた『めざましテレビ』が局の看板として長年結果を残しているほか、バラエティなども含め、タレントと同等レベルの影響力や訴求力を持つ存在であることは変わっていません。
たとえば、深夜帯のニュース番組『Live News α』(フジテレビ系)のメインキャスター・堤礼実アナの顔をアップにする演出はたびたび賛否の声を集め、同局の番組審議会で疑問視されながらもあまり変えられないのはそれを楽しみにしている視聴者が多いから。多少の批判はあってもニーズがあるため、変えることが正しいとは限らないのでしょう。
これは日本テレビの『ZIP!』『news every.』なども同様であり、特に平日の朝、昼、夜に放送される報道・情報番組に出演するアナウンサーは、視聴者にとって元気や癒しを感じさせ、親しみの持てる存在。バラエティの制作サイドにとっても、制作費の節約になるだけでなく、その好感度を番組にもたらす重要な存在であることは騒動を経た今なお変わっていません。
アナウンサー特番に関しても、「アナウンサーをアイドルやモデルのように扱わない」「報道番組への出演に影響が出るような構成・演出はしない」などの一線を引いていればOKとみなされている感があります。主要4局の中でもフジテレビと日本テレビは以前からアナウンサーの好感度をバラエティで活用する傾向が強く、1990年代から現在まで多くの人気者を生んできました。
「若手女性アナ出演なし」のアナ特番
ではTBSとテレビ朝日はどうなのか。両局は「報道番組を重視する」という点が共通していて、「アナウンサーは基本的に報道優先」というニュアンスを感じさせられます。
テレビ朝日は朝の『グッド!モーニング』『羽鳥慎一モーニングショー』、夜の『報道ステーション』に入社間もないアナウンサーを次々に起用。もちろんベテランも『大下容子ワイド!スクランブル』の大下アナを筆頭に各番組で起用されています。
一方のTBSも近年、朝の『THE TIME,』と夕方の『Nスタ』を自局アナウンサーで固めるなど、できるだけ外部の人材に頼らず、若手からベテランまでバランスよく起用する方針がうかがえます。
もちろん両局のアナウンサーはバラエティにも出演しますが、その多くはアナウンサーとしての立場をわきまえた構成・演出での出演。本人の個性を生かすためにバラエティ中心のアナウンサーもいますが、本分と言えるアナウンスの仕事もしっかり担っています。両局はフジテレビの騒動があったことで少なくともしばらくの間は、よりアナウンサーの起用に配慮していくのではないでしょうか。
ただ、フジテレビと日本テレビも安易にアナウンサーをバラエティに起用し、アナウンサー特番を制作しているわけではないでしょう。今回のアナウンサー特番にも、一連の騒動を受けた配慮が感じられます。
フジテレビの『呼び出し先生タナカ』に出演するアナウンサーは計10人中、女性6人・男性4人のバランスであり、フジテレビから参加するアナウンサーは伊藤利尋さん、榎並大二郎さんの男性のベテラン2人のみ。騒動を配慮してなのかはわかりませんが、外部のフリーアナウンサーも含め、この手の企画に多い若手女性アナウンサーの出演はありません。
