中居氏とAさんとのやり取りの文面の写し(本誌入手)
B氏は“知人”としてではなく会社の幹部として関与の可能性
第三者委の報告書でB氏は事案当日(2023年6月2日)に関与がなかったと明記されているが、中居氏とAさんが出会うきっかけを作り、当日までにB氏を含めて3人が同席する機会があったことは詳述されている。
事案発生の2日前に中居氏所有のマンションで催された「BBQの会」では散会後に3人ですし店で食事。その前後で
〈中居氏の求めにより女性Aは中居氏と連絡先の携帯電話番号を交換〉(報告書より)したとされる。
そうしたトラブル発生前の関係については明らかになっている部分が多いが、「事案後のメール」のやり取りでも、7月中旬~下旬の2週間で、中居氏からB氏の名前が6回も出ている。そのことを見ても、改めてこの問題が個人間のトラブルにとどまらないフジの問題であることが浮き彫りになる。その点を明らかにすることは極めて重要だ。
トラブル発生後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し入院治療中のAさんは中居氏に「医師らは提訴を勧めるが自分は穏便に済ませたい」「とはいえ医療費が高額なのでその支払いを頼みたい」と求めた。それに対する中居氏の返信について第三者委の報告書はこう記している。
〈中居氏は、見舞金を支払う旨、贈与や税金等の関係からその範囲内で行いたい旨、共通の知人であるB氏に届けてもらう形としたい旨を提案した〉
Aさんが専門家への相談に時間がほしいと伝えたのに対し、中居氏は快気祝いの名目でもできることがあるなどと返信したと報告書にはある。
実際のメールのやり取りと突き合わせると、中居氏は見舞金などをB氏に預けていいか、同じ日に2度、尋ねている。
Aさんは「弁護士など第三者を通じてのほうが確実で誠実なやり取りになるのでは」と返すが、中居氏は対立構造になることや弁護士費用がかかることを懸念し、会社(フジ)のなかの人が間に立つかたちが健全だと主張。改めて、【自分はまず共通の知人としてB(註・メールでは実名)に相談する事がいいのではないかと思います。いかがでしょうか】と提案している。
西脇弁護士が言う。
「なぜ“第三者”を選ぶうえで中居氏がB氏にこだわったのか。事案後、B氏はどのように関与したのか。B氏の存在がメールのなかに何度も明示されていることは、単なる共通の知人としてではなく、会社内でAさんより地位の高いB氏がこの問題に深く関与していた可能性を示唆する材料です。
そうである以上、フジテレビ旧経営陣に対する訴訟や社内処分の妥当性、さらに今後の再発防止策の有効性を検討するうえでも、この点の事実解明は避けて通れません」
なぜ中居氏はB氏を間に入れることにこだわったのか。その意図について代理人を通じて質問すると「お答えすることは差し控えさせていただきます」と回答した。
解明されるべき重要な問題は、まだ残されている。
※週刊ポスト2025年7月18・25日号