戦後80年最高の総理ランキングトップ10(1~3位)
そうした評価は多くの識者に共通する一方、前出・山口氏が「基本的に民意を一切聞こうとしなかった。ある種の強権的なやり方が必要とされた時代ではあったが、個人的には評価しない」と指摘したことも重要だろう。
2位の田中角栄氏は「日本列島改造論」を掲げ、高度経済成長によって生じた経済や社会の歪みを「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれた決断力と実行力で解決しようとした。日中国交正常化を実現し、米国にエネルギーを依存しない独自の資源外交を進めた。
大蔵官僚出身で第1次安倍政権の官房副長官を務めた的場順三氏は田中政治の神髄は人材起用にあったと語る。
「総理に必要な能力は与党をまとめるために政治家個々を理解し、その能力を最大限発揮してもらうための気配りができることだと考える。角栄さんはどの政治家にどんな能力があるかを一覧にした“巻物”をつくっていた。それをもとに政策課題ごとに適材と思う政治家を起用して動かした。その点、石破さんは自分が知っている政治家しか信用しないように見える」
角栄氏を「政治の師」と仰ぐ石破首相には耳が痛い指摘だろう。
(第2回に続く)
※週刊ポスト2025年8月15・22日号