「あんぱん」キャストがスペシャルステージに登場する(インスタグラムより)
新特番が「夏の紅白」と言われる理由
次に、なぜ『MUSIC GIFT』は「夏の紅白」と言われるポジションなのか。
NHKが生放送する大型の音楽特番であること、幅広いジャンルのアーティストと楽曲がそろうこと、この日だけのスペシャルステージが見られること、これまで「夏の紅白」で歌い継がれてきた「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」が披露されることなどの理由があげられます。
実際にMISIAさんは和歌山県高野山の金剛峯寺で歌唱、ゆずは東京フィルハーモニー交響楽団の52人と共演、DREAM COME TRUEは夢を追う若者たちとダンスコラボ、元ちとせさんはプロデュースを手がけた坂本龍一さんのピアノ音源で歌唱などのスペシャルステージが予告されています。
それ以外では、人気絶頂状態のMrs.GREEN APPLEが2曲を披露し、若年層に人気のBE:FIRSTも出演。さらにLiSAさんが『鬼滅の刃』スペシャルメドレーを披露するほか、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』のスペシャル映像などの演出も予告されています。
「年末の紅白」ほどの規模はないものの、より季節性やテーマ性は高く、番組名に「2025」という表記があるだけに「夏の定番にしていきたい」のではないでしょうか。
「年末の紅白」に嵐の出演はあるか
民放が夏に放送する音楽特番は、7月2日に『2025 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)、同5日に『THE MUSIC DAY 2025』(日本テレビ系)、同9日に『テレ東音楽祭2025~夏~』(テレビ東京系)、同18日に『ミュージックステーション SUPER SUMMER FES 2025』(テレビ朝日系)、同19日に『音楽の日 2025』(TBS系)が放送されました。
民放が“夏のはじまり”に集中しているため、“真夏”に放送される『MUSIC GIFT』は放送時期だけをとっても貴重な存在。また、民放の音楽特番は夏の野外フェスをイメージするようなお祭りさわぎの演出が目立つ一方、NHKの『MUSIC GIFT』はしっかり歌を聴いてもらう豪華な歌謡ショーという印象の特番になりそうです。
最後に『MUSIC GIFT』が「夏の紅白」と言われる理由をもう1つ。二宮さんと二階堂さんは「年末の紅白」でも司会を務めた経験があり、看板アナウンサーを加えた構成は「ゆくゆくは『紅白歌合戦』と並び立つようなブランドに」という思いを感じさせられます。
はたして『MUSIC GIFT』は「年末の紅白」に向けてどんな布石を打ち、視聴者の期待感を高めていくのか。また、二宮さんが「夏の紅白」で司会を務めることで、来春にラストコンサートツアーを予定している嵐が「年末の紅白」に出演するかも……と期待する人も少なくないでしょう。
生放送だけに何が起きるのかわかりませんが、「年末の紅白」を意識させるポジティブな仕掛けやパフォーマンスを期待したいところです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。