今年5月17日の懐石コース表に書かれていたメニュー(従業員提供)
「オープンして半年ほど経ってから、厨房を担当して働いていました。当時はメニューや扱う食材も多かったのですが、ここ最近は経営状態も悪く、メニュー数もほぼ半分以下に。仕入れ先もどんどん減っていきました。
そして、メニューの表記と異なる食材が使われるようになったんです。仕入れ先がないから、店長が近所のスーパーで食材を買ってくる。レシートをオーナーがそこら辺に置いておくから、何をスーパーで買っているのか分かるんです」
旅館とレストランをつなぐロビーには、「飛騨牛 5等級」と目立つように掲示されている。具体的に、どのような食品が表記と違ったのか。懐石料理のメニュー表には「清水産本鮪」「北海道産紅鮭」、そして地元食材である「飛騨牛フィレステーキ」「揖斐川天然鮎塩素焼き」などと書かれているが……。
「仕入れているわけではなくて、スーパーでオーナー自ら買ってくるので、お刺身の産地はほぼ全て適当です。鮭も、チリ産のトラウトサーモンを扱ったこともあります……。
飛騨牛について、しゃぶしゃぶは『バレるから』と言って飛騨牛を使っていましたが、ステーキ肉は安い乳牛・ホルスタインのヒレ肉を使っていました。これもスーパーで買っていた。鹿児島産などの黒毛和牛を買ってくることもありましたが、オーナーは『焼いたらわからないから』と言っていました。
メニューで天然鮎とされているのは、養殖の鮎か冷凍の鮎です。冷凍の鮎は水で解凍するので水分が多く、焼くと内臓が出てきてしまうんですよ。天然の鮎は焼いても内臓が出てくることはほとんどなく、そこでわかるんです。
天ぷらのエビは『アカ海老』と書いていますが、冷凍のバナメイエビを使用していたこともあります……」