外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切り替え」の受付窓口を視察する自民党の小野寺五典政調会長(左から4人目)=2025年5月21日、東京都品川区の鮫洲運転免許試験場[自民党提供](時事通信フォト)
学科試験(正式には知識確認、後述)がイラスト付きで10問中7問正解すれば合格で「クイズみたいだった」と以前取材したパキスタン人にも笑われてしまったその外免切替もついに10月から難化することになった。
「空港の送迎とかね、中国人(運転手)の仕事は観光のおかげでいっぱい。いまの仕事がだめになったらそうする、そのためにも、いまのうちね」
いまのうちに取得しなければ難しくなる、だから簡単なうちに取ってしまおうということか。のんびり構えていた中国やベトナムといったジュネーブ条約非加盟国の人たちもそれまでに取得しようとしている。旧知のベトナム人留学生いわく「ボーナスステージが終わった」とも。ゲームになぞらえたのだろうが、確かにこんなに簡単に日本の免許に切替できる「ボーナスステージ」だったのは間違いない。
「簡単なときにとっておいてよかった」
以前から筆者はこの問題を各メディアで取り上げてきた。本媒体では2024年10月の「《早朝から中国人が長蛇の列》「外免切替」に利用される日本 運転免許試験場に並ぶ中国人「中国の免許はどこも使えない。お得だ。日本は優しい」を書いたが、なにしろ10問中7問絵解きで合格というとんでもない(実際、問題があるから難化となる)手抜き、いとも簡単に外免切替を許してきた。当時、この府中では先着順で「外免切替が厳しくなる」「観光ビザでは切り替えられなくなる」という一部外国人コミュニティ内の噂が噂を呼んで連日の行列となった。
ここでいま一度説明しておくと、道路交通に関する国際的な枠組みとしての「ジュネーブ条約」がある。大多数の国はジュネーブ条約締約国であり日本もそうだ。ジュネーブ条約は厳格な免許制度と取得条件が求められ、条約国間の運転では原則、試験(確認)は免除(国によって条件は変わる場合もある)されるが、中華人民共和国(香港、マカオ除く)やベトナム、インドネシア、パキスタンなどはジュネーブ条約に加盟していないため原則、日本でそのまま国際免許証として認められない。
この制度、かなり複雑で条件次第、特例や多くの選択肢もあり本稿程度の文量で説明し尽くすのは難しいが、とにかくジュネーブ条約非加盟国の国際免許証では日本で運転できない。もうひとつ「ウィーン条約」もあるが、その条約加盟国であっても日本では運転できないことには変わりがないため説明は措く。
〈ジュネーブ様式の国際運転免許証を発給していないため、日本国内では当該国の国際運転免許証で運転することができません〉
と、警視庁の「ジュネーブ条約締約国等に関する情報」(2025年7月10日更新)にある通りであり、その発給していない〈当該国〉が香港、マカオを除く中華人民共和国やベトナム、インドネシア、パキスタンといった国、ということになる。