判決言い渡しの直前にボウヤー被告が独占取材に応じた(撮影:水谷竹秀)
犯行の手口は捜査で明らかになった。水原は、大谷の口座のメールアドレスや電話番号を自身のものに変更し、銀行に電話をかけて大谷になりすまし、送金を続けていたのだ。その額は多い時で120万ドル(約1億8000万円)にも上った。
ボウヤーは名義人について、「あえて問い合わせなかった」と言う。
「俺はスポーツ賭博を運営し、顧客にサービスを提供しているだけ。負けた分がきっちり送金されさえすれば、カネの出所は重要じゃない。顧客には、実業家やスポーツ選手がたくさんいる。彼らはプライベートを隠したがるから、同様に余計な詮索はしないんだ」
もっともらしいことを言ってはいるが、水原と大谷マネーをめぐる「共犯関係」を続けた事実は変わらない。さらに突っ込むと、こう語った。
「数週間に1回のペースで50万ドル単位の大金が入ってくるんだ。俺も家族も潤ったので、口座について尋ねることでこの『完璧なシナリオ』を止めたくはなかった。額が大きいのでいつかはバレるかもしれないという懸念はあったが、欲が勝ってしまったんだ」
水原は2021年の9月から2024年1月ごろまでの約2年半で、約1万9000回も賭け続けた。1日当たり平均25回の計算になる。その間、水原とボウヤーが交わした携帯メッセージには、こんなやり取りが残されている。
〈もう一度、上限を引き上げてくれないか? 分かっていると思うが、支払いについて心配する必要はないよ〉
心配する必要がないのは「大谷マネー」があるからだ。それをボウヤーも分かっているから、水原の引き上げ要求に応じ続けた。ボウヤーはこんな本心も打ち明けた。
「正直に言うと、翔平の口座から振り込まれた総額1700万ドルは、翔平にとってはさほどの大金じゃない。経済的に痛くも痒くもないだろう」
大谷がドジャース入団時に結んだ契約は10年で総額7億ドル(約1015億円)。それに加えて広告収入も年間約1億ドル(約145億円)あると報じられている。「だから少しぐらい賭博に注ぎ込んでも平気だろう」──ボウヤーの発言には、そんな開き直りを感じた。