ライフ

《自治体による移動支援の狙いは》東京都はシルバーパス4割値下げ、荒川区は実質0円に 神戸市は高校生通学定期券0円

荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)

荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)

 東京都シルバーパスは、さかのぼると1973年1月の老人無料パスに始まり、1974年11月には民間バスにも利用が拡大された。それから50年超、単なる福祉乗車証を超えた効果を期待した、新しい施策が始まる。ライターの小川裕夫氏が、高齢者、高校生への移動支援を自治体が支援する意義と狙いについてレポートする。

 * * *
 東京都は2025年10月から年間2万510円で交付していたシルバーパスを1万2000円へと値段を引き下げる。

「東京都シルバーパス」は満70歳以上が対象の福祉乗車証のひとつで、購入したパスで利用範囲はほぼ東京都全域をカバーしており、東京都交通局が運行する都営地下鉄や日暮里・舎人ライナー、都電荒川線、都バスに加え、都内を走る民間の路線バスや自治体が運行しているコミュニティバスの一部も利用が可能だ。

 東京都がシルバーパスの値下げを発表したのは2025年1月だが、それを受けて東京都荒川区も高齢者の移動支援を打ち出した。荒川区はシルバーパス代1万2000円のうち、1万1000円を助成する。もともと住民税非課税であれば1000円で発行され今後もその予定だが、70歳以上の荒川区民は同じ金額になるということだ。

「2024年11月に新区長に就任した滝口区長は、区長選で”元気なシニアを増やす政策”を訴えてきました。そうしたこともあり、当選直後からシニアに向けた政策が検討されてきたのです。そのタイミングで東京都のシルバーパス値下げが発表されたので、さらなる支援策として1万1000円の助成を打ち出すことになりました」と説明するのは荒川区福祉部高齢者福祉課の担当者だ。

 荒川区はシルバーパスに対して1万1000円を追加で助成するが、いっそのこと1万2000円全額を助成してもいいのではないか?と考える区民もいるだろう。残り1000円はシルバーパスの発行にかかる事務手数料なので負担は残ったが、実質0円で公共交通が使い放題になる。

 荒川区は区内に都電荒川線が東西に貫き、日暮里・舎人ライナーが南北を走る。そのほか都バス路線も充実している。東京都のシルバーパスをフル活用できる環境が整っている。そうした背景も、荒川区がシルバーパスの助成に取り組むことになった一因になっている。荒川区は助成対象者を約3000人と見込み、約5300万円の補正予算を組む。

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン