水原とボウヤーが出会ったという2021年の「エンゼルスポーカー大会」(手前はボウヤー、奥左が水原、奥右がフレッチャー)
「刑務所のなかで書き直そうかな」
本書は計411ページ。その割には、大谷と水原に関する記述が少なく、私が想像していたほど大谷とのトラブルを全面に押し出した内容ではなかった。その点について問うと、ボウヤーはこう語った。
「日本でもこの本を売りたいんだ。もっとショウヘイやイッペイについて書いたほうが売れそうなら、刑務所のなかで大幅に書き直そうかな」
ボウヤーは最初から、大谷の周りにカネの匂いを嗅ぎ取っていたのだ。そしてボウヤーら一味は、スキャンダル発覚前にも“大谷マネー”にあやかろうと、水原にビジネスの話を持ちかけていたと明かしたのだった——後編記事で詳報する。
(後編につづく)
【プロフィール】水谷竹秀(みずたに・たけひで)/1975年、三重県生まれ。上智大卒。新聞記者、カメラマンを経てフリーに。2004~2017年にフィリピンを中心に活動し、現在は拠点を日本に移す。2011年『日本を捨てた男たち』で開高健ノンフィクション賞を受賞。最新刊は『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)。2022年3月下旬から5月上旬にはウクライナで戦地を取材した。