将来設計をせずに「これくらいならいけるだろう」と安易に入居してしまうことは避けたい(写真/イメージマート)
思い込みが失敗につながる
脇氏は高級老人ホームへの入居金についても指摘する。将来設計をせずに「これくらいならいけるだろう」と安易に入居してしまう人もいるため、介護が必要になったときに追加費用が発生し、資金が足りなくなってしまうケースも少なくないという。こうした失敗を避けるため、脇氏は施設選びの重要なポイントを挙げる。
「まずは、自分の身の丈に合った施設を選ぶことです。特にタワマン型など高級老人ホームでは見栄で入居する人もいる。金銭的に無理をせず、自身のライフスタイルや価値観に合った施設を選ぶことが肝要です。
そして徹底した情報収集も大切です。パンフレットの情報だけでなく、入居者の雰囲気やスタッフの日常的な対応といった“ソフト面”を細かく確認する必要があります。施設によってはお試し入居もできるので、活用してみましょう。“これしかない”と思い込んで失敗するケースも少なくないのです。
あとは、一人で入居を決めないことです。“施設側は良いことしか言わないもの”と心に留め、家族や専門家など第三者の客観的な意見を取り入れましょう」
後編では昨今、増加傾向にあるというタワマン型の老人ホームについて、専門家の意見を聞きながら、市場の現状や構造的な課題について深掘りしている。
【プロフィール】
脇俊介(わき・しゅんすけ)/株式会社プランドゥ 代表取締役・MY介護の広場 老人ホームを探す 統括マネジャー。2004年にグループ会社の株式会社パセリに入社。営業部門にて「スクール検索サイト BrushUP学び」のコンサルティング営業を担当後、制作ディレクター、グループマネジャーを歴任。2014年からは新事業部「メディケア事業部」のマネジャーとして、明治安田システム・テクノロジー株式会社との業務提携をおこない、介護施設WEB検索コンテンツ「MY介護の広場 老人ホームを探す」サービスを開始。2024年1月より株式会社プランドゥ代表取締役に就任。社長業と兼任し、入居相談員としても相談者をサポート。介護職員初任者研修の資格を有し、介護や施設選びのポイントについてアドバイスをおこない、近年は老人ホームに関する講演活動も精力的に取り組んでいる。
(後編に続く)