(共同通信社)

逮捕時の山上徹也被告(共同通信社)

 多感な時期の母の入信、高額献金と子どもへのネグレクト。父親を自死で亡くした母子家庭だった山上家において、被告人は難病に罹患し健康状態に不安のある長兄に代わり、精神的に一家を支える立場にあった。母親との関係性、母親と教団の関係、金銭的困窮を含む一家の状況について、山上が複数の相談先にアプローチした形跡もあるが充分な対応が受けられなかったと見られる。

 結果として適切な被害救済がなされず、兄が自死。その一方で一家を壊滅に追い込んだ教団が放置されてきた背景にあったのが、政界との癒着である。弁護側はこういった証拠を示して量刑判断へ加味されるべきとの主張をしていくだろう。

 その場合、母親との関係性と兄の自死がポイントとなる。また彼が捉えていた問題の背景は事実とリンクしていたのか、彼の一方的な思い込みではなく蓋然性があったのか。

 ポイントは、母親と下のきょうだいの尋問となるだろう。山上の家庭環境が、当事者の口から語られることになる。だが、山上は出廷する母親に対して複雑な思いがあると見ている。その葛藤を示すように山上は母親の接見を断っており、事件後、法廷で初めて顔を合わせることになる。

 母親は統一教会の現役信者であることから、法廷において「家庭内の問題であり教団に申し訳ない」といった統一教会に有利な内容を証言する可能性もある。その懸念を山上の弁護士に尋ねたところ、たとえ教団に与する発言があったとしても彼の成育歴をそのまま語ってもらえればよいという。下のきょうだいについては、兄への思いとともにほぼ同じ境遇に育つなかで長兄の自死や母親の高額献金の実態などについてどのように語るのか、注視したい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
“飛ばし屋あいちゃん”の異名も
《女子ゴルフ後藤あい》16歳ドラコン女王“驚異のぶっ飛び”の秘密は「軟らかいシャフトで飛ばす」 アマチュアゴルファーでも実践できるのか? 専門家が解説
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン