台湾・頼清徳総統(時事通信フォト)

台湾・頼清徳総統(時事通信フォト)

 今回の米中首脳会談にあたっても、中国側は米国が望む中国のレアアース輸出規制の停止を取引材料に、台湾に“関心が薄い”トランプ大統領に「台湾の独立に反対する」と発言させようと水面下で工作していたとされる。

 もし米国が台湾を見捨てれば、台湾有事が起きた際に日本だけで対処しなければならなくなる。日本の安全保障にとって重大事態だ。

 そうした局面で高市首相はどう動いたのか。

 10月28日、首相は来日したトランプ大統領と迎賓館で首脳会談やワーキングランチを行なった後、大統領専用ヘリ「マリーンワン」に同乗して米軍横須賀基地に向かい、大統領とともに原子力空母「ジョージ・ワシントン」に乗り込んで米兵たちの前でスピーチを行なった。

 新聞・テレビは空母の上で飛び跳ねる首相の様子ばかりを報じたが、その間、台湾問題について首脳間で詰めた話し合いが行なわれたという。

 キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏が語る。

「会見などでは発表されていないが、この日、高市総理は台湾をあまり重視していないトランプ大統領に、台湾有事が緊迫化し、有事になれば米国の利益をどれだけ損ねるかという話をかなりの時間をかけて説いた。米政権の同行筋は、トランプ大統領本人も米政権の要人たちも、今の日本の総理は安全保障について非常に詳しいと感心して聞いていたと言っていた。

 その後の米中首脳会談をめぐり、トランプ氏は会見で『台湾問題は一切話題にならなかった』と語った。これはトランプ氏が台湾問題に消極的だという形で報じられていますが、習氏に台湾問題についての中国側の主張を言わせなかったわけです。それは高市総理の根回しが成功したからだと言っていい。首脳外交での高市総理の知られざる功績でしょう」

 台湾有事を前にして“米国離反”という事態を未然に防いだというのだ。

第3回に続く

※週刊ポスト2025年11月21日号

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