台湾有事は日本の安全保障にとっても重大(習近平氏/時事通信フォト)
政権発足直後にトランプ大統領との日米首脳会談、習近平・国家主席との日中首脳会談に立て続けに臨んだ高市早苗・首相。その一方で、米中のトップ外交による両大国の“緊張緩和”にも注目が集まった。台湾有事への懸念は、官邸人事にも大きく影響しているという――。【全3回の第3回。第1回から読む】
有事に備えた官邸中枢の人事
官邸中枢の人事も、「台湾有事」をにらんで進められたという。
高市氏は参院選前の今年4月に台湾を訪問して頼清徳・総統と会談。台湾有事や日台の外交・安保、経済分野の協力強化について協議し、高雄市の「紅毛港保安堂」にある安倍晋三・元首相の銅像にも献花を行なった。
この訪台に同行したのが、自民党の親台湾派で知られる黄川田仁志・代議士、尾崎正直・代議士、佐藤啓・参院議員の3人の側近だったが、高市氏は首相に就任すると、黄川田氏を台湾有事の際に“最前線”となる沖縄を担当する沖縄北方担当相に起用、尾崎氏と佐藤氏の2人を衆参の官房副長官に起用して官邸を親台派で固めた。
さらに北部航空方面隊司令官などを歴任した尾上定正・元空将を安全保障担当の首相補佐官に任命して官邸に置いた。キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏はこう指摘する。
「制服組の首相補佐官起用は異例だが、それだけ台湾有事が迫っているという高市総理の危機感を反映した人事と見ていい」
