自由報道協会が主催する記者会見で、取材者としてマイクを握って質問する立花氏(2011年7月撮影:小川裕夫)
協会が主催した記者会見には、衆議院議員の小沢一郎氏やソフトバンクの孫正義氏、現職の東京都知事だった石原慎太郎氏などバラエティに富んだ面々が登壇している。誰でも参加できることを謳い文句にした記者会見だったので、フリーランスのライター・カメラマン、インターネットメディアの記者だけではなく、記者クラブに属している新聞社やテレビ局の記者が参加することもあった。
立花氏も協会が主催した記者会見にフリーランスのジャーナリストとして参加した一人で、参加前の申込メールの文言が独特だったことから「今度の会見に、ちょっと変わった人が来るらしい」とスタッフ間では話題になっていた。とはいえ、自分も含めて報道に関わるフリーランスは、一癖も二癖もあるのが当たり前という認識だったので、特に立花氏を警戒するような雰囲気はなかった。
記者会見場に現れた立花氏は、「(協会代表である)上杉さんは命の恩人」と公言していた。二人にはNHKで働いていた過去が共通しているので、そのあたりにシンパシーを抱いていたのだろう。
のちに選挙に出まくることで知名度・存在感を増大させた立花氏だが、この時点ではまだ選挙に立候補をしたことはなかった。それから2年後の大阪府摂津市議会議員選挙に初出馬して落選。当時から「NHKをぶっ壊す」というフレーズを口にしていたが、一地方の選挙でそのフレーズが世間に広がることはなかった。それでも立花氏は各地の選挙を転戦していく。
初当選は3回目の出馬となる千葉県船橋市の市議選だった。ようやく悲願を達成したのだから、普通の候補者なら船橋市議という職責への思いをそれなりに抱くはずだが、翌2016年の東京地知事選に出馬するためにあっさりと辞任した。立花氏にとって議員という立場に執着はなく、選挙に対しても船橋市という地域に対しても思い入れはなかったようだ。
市議を辞任して挑んだ東京都知事選挙に落選したことで無職になった立花氏は、翌2017年に東京都葛飾区議選に出馬して当選。再び政治家としての道を歩み始める。
ブラッシュアップされていった選挙ハック
立花氏はガーシーを参議院議員選挙に擁立したり、選挙ポスター掲示板の枠を販売するといった、公職選挙法で明確に禁じられてはいないが倫理的に敬遠されてきたこと、いわゆる抜け道をみつけることに長けている。これらの行為は権利の濫用と非難されるようなことが大半だが、選挙制度に関しては非常に研究していると言わざるを得ない。そして、その研究結果から次から次へと新しい抜け道を探していく。
