中国山東省青島市に本拠をおくハイアールグループは白物家電ブランドマーケットシェアでは2010年時点で世界第1位になった(ハイアール公式HPより)
東芝のブランド「REGZA」(レグザ)は中国の世界的家電メーカー、ハイセンス(海信集団)が買収して販売している。設計自体は旧東芝の技術者が手掛けているとされるが、部品調達や製造そのものは中国主導である。
「威勢のいいこと言う人がネットにいるけど中国製買わない、使わないなんて。まずスマートフォン使ってるだけで無理でしょう。どれだけ中国の部品があるか」
この現状に気分が悪い、胸糞悪いと言っても中国製や中国産からは逃れられない。だから中国にひれ伏せとかそういうわけでなく、中国依存から脱却するどころか日本の輸入相手で1位、輸出でもアメリカに次ぐ僅差の2位(香港を足せば輸出も1位)という中国に頼らなければ、いや頼る気がなくともいつのまにか中国の何某か(労働力でも、部品でも、原料でも)によって日本人は生活している。
ちなみにアメリカでは2000年代に『チャイナフリー 中国製品なしの1年間』という本が出ている。アメリカ人ジャーナリストが1年間中国製品を拒絶して生活するという体当たり系の実験読み物だが、結論は「無理」であった。約20年前の本だが著者の「10年後が怖い」は当たった。
「かつてリストラされた日本のベテラン技術者の一部も中国企業が救ってくれた。十分な研究施設、自由な開発環境、失敗を恐れない企業風土、昭和の日本メーカーそのものだった」
これについては2022年の拙筆『70代元家電メーカー技術者の悔恨「メイド・イン・ジャパンを放棄してはいけなかった」』でも同様の話が元技術者からあった。
「中国依存は都合よく安いもの、際限なく安いものを求めた日本人の多くにも責任はあるんだ。私だって服とか食料品なら消費者としてはそうだろうね。悔いてはいるんだ、この国のものづくりが、いまも大好きだから」
追い詰めてきたのは日本人の取引先、その先の消費者
いまや中国は製造大国。ハイアール、アクア、ハイセンス、Ankerといった日本はもちろん、世界で大いに認知された巨大企業もある。また中国の自動車メーカーBYDの日本国内におけるEVバスのシェアは7割を超えた。乗用EVは未知数だが、これからとんでもなく安くてそこそこ走る車を出してくるという噂もある。かつてスズキが「アルト47万円」でセンセーションを巻き起こしたように。
「自動車も遠くない将来、中国に負けるよ。悔しいがいまも日本の技術者、とくに中堅からベテランに対する扱いはひどいものだ。すぐというわけじゃないが年齢的にそれを見ずに済むのは確実だろうからまあ、知ったことではないがね。でも追い詰めたのは日本人の取引先、その先にいる日本人消費者でもあるんだ。」
技術者として昭和、平成と歩んだ彼が力なく笑う。全員ではないが、筆者の知る引退した元技術者にはこうした人も多い。彼らの発言は一例でしかないかもしれないが、この国のものづくりの象徴的な事象のように思う。
