高羽さんが保存し続けていた犯人の血痕(撮影・水谷竹秀)
同窓会で話した「離婚の話」
悟さんは現在に至るまで、「犯行のきっかけ」のカギを見つけるため、過去を振り返り続けている。
前述した同窓会の中で、参加者たちは順番に近況を報告した。悟さんは「11歳年下の女性と結婚し、子供も2年前に生まれました」と説明していたが、同時にこんなことも伝えていた。
「前の妻とは離婚をした。財産を分与し、養育費も支払っている」
悟さんは前妻との間に子供が2人いた。悟さんが回想する。
「離婚はしましたけど子供には罪はないし、大学まで行けるぐらいのお金は出したいと思っていたので、2人とも十数年間にわたり、多額の養育費を支払い続けました」
報道によると、安福容疑者は警察の取り調べに「子育ての苦労をわからせてあげたかった」と供述している。自身には子供が3人いたが、事件の10年ほど前に長女を亡くした。大手自動車部品メーカーに勤務する夫は出張がちで家にいないことが多く、名古屋市内の会社で事務の仕事をこなしながら、2人の子供を育てていた。
そんな家庭環境だったからか、悟さんが離婚した前妻と子供2人のことを考え、「シングルファザーにしてやろう」と奈美子さんを狙ったのだろうか。
