海外旅行を助ける「スマホの翻訳機能」
だけど、当時とはまるで違うんだよね。しばらく前のこと、築地にある家族経営の小さな寿司店に入ったら、突然、「×!?△」。アジア系の女性客が大声をあげたの。大将は少しも動じず、「はいはい」と彼女のちらし丼の上にまぐろの切り身を1つポン。後から聞いたら、メニューの写真よりネタが少ないと怒るのは“ある国の人だけ”なんだって。「その代わりに高価なイクラを多めに入れている、なんて言ったところで納得しないんだよな」と大将は首をすくめるんだわ。
地域バスに乗っても、外国人旅行者たちはひと言も話さない。目が合っても挨拶もしない。彼ら全員が手にしているスマホを見れば、自国語ですべての日本情報が入っているんだもの。タクシーで行き先を告げるのもスマホの翻訳機能が代わってしてくれるしね。いまどき道に迷っている人に「めいあい、へるぷゆー?」(なんか困ってない?)なんて声をかけたら間違いなく不審者だと思われるよ。
なんてことを思いながら異文化の人たちの群れを見ているからか、彼らに対する違和感はいつまでも違和感のまんまで、いるだけでこっちの気が張るんだわ。もしかしたら、最近よく耳にする「分断」ってこのことか? その原因は、彼らも私も持っているスマホか?──なんてね。てか、彼らは気が済んだら自国に帰るからいいけど、スマホ頼りで話さない外国人が移民としてもし入ってきたらどうなるの?なんて余計な心配までしちゃったわよ。
それはそうと、近頃の大学生は卒業旅行に行かないと言われて久しいけど、先日話した大学生にその理由を聞いたら、「海外旅行なんてもったいない。バイトで貯めたお金は投資に回します」と言うの。「日本とは違う理屈で回っている国を見たくないの?」と突っ込んでみたら、「興味がある国ならYouTubeで見るからいいです」だとさ。
そういう私も、次に海外旅行をするときは、パスポートよりスマホを大事にすると思う。パスポートを紛失してもスマホさえあれば捜す手立てはあるけれど、旅のスケジュールやら予約した宿の情報が全部入っているスマホがなかったら一歩も動けないもの。
便利! でも怖いわ!!
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年12月18日号